174 妬み
昨日投稿できなくて申し訳ないです。
まだまだ夏休みのため、投稿できない日もあるかもしれません。気長にお待ちください。
葵の魔法の力は強すぎる――ゆえに、季節の変わり目にさえも体調を崩してしまうその体で、受け止めきれるはずがない。
筮は、血を吐いた葵を心配する二人に苦しみながらも、大丈夫だと答える葵の姿を、無表情で見ていた。
(だから言ったのに……。)
この感情は呆れではない。
心配でもない。この感情をあえて言うならば”妬み”。
同じ異世界から来て、同じ魔法が使えるのに。
……この差は、何なのか、と。
もちろん、体が受け止めきれないほどの力がうらやましいとも思う。でも、だからこその苦悩もあっただろうという事も分かっている。……つもり。
言い切れないのは、それほどまでに前者の気持ちが強いから。
隣に立つ江見さんが戸惑ってる。
中身が、魂年齢と呼ばれるものがいくら年をいっていても、見た目は年端も行かぬ少女。
心が痛むのは、人である証拠。生の証明。
だから私は、それを受け入れる。
「力が強すぎる。」
私はハッとし、隣に立つ江見さんを見る。先ほどの声は、江見さんものだったから。
江見さんも私の視線に気づき、私の顔を見る。
「あっ……ごめんなさい。知ったような口を。」
「いいんです。敬語はいりません。私の方が年下でしょう。」
「でも……敬語じゃないと落ち着かないんです。」
「……なら、いいです。しゃべりやすい方で。先ほどの言葉は、どういう意味ですか?」
江見さんは葵の方を見る。
そこには、吐血した者の心配をする兄弟がいる。
江見さんは眉を下げる。
「たまにいるんだそうです。その……祓い屋? とかいう人たちがいるらしいんですけど……。」
「それは知っています。怪異や妖の天敵ですよね?」
「はい。……その人たちが怖くて、たまに、強い怪異の力をわけてもらおうとする怪異たちがいるらしいんですけど、その力に適応できずに、消えてしまう怪異がいるとか。……七番様に教えてもらいました。」
「七番様っていうのは、七不思議の七番のこと?」
「はい。七不思議のリーダーです。クールで、強くて、カッコよくて……って、今はこの話じゃありません。力をわける怪異は、適応できなかったなら弱らせて食う、もしくは吸収し、自分の力の一部とする。適応できたなら護衛に。」
真面目な顔で話す江見を見て、筮は頬を緩めそうになる。
なぜなら可愛すぎるのだ! 四歳児という女児の可愛さ! その破壊力!
筮は深呼吸をして何とか真面目な顔を保ち、少し考える。
(なるほどね……じゃあ、林間学校の場所にいた都市伝説がいい例かしら?)
あの場にいた二人組。あの二人もここの七不思議並みに強いのだろう。本気を出されていたらヤバかった……。
祓い屋の青年と共に、八つ裂きの血祭りだ。
筮はその情景を想像する。
折り重なる死体の山の上に座る無表情の美しい一人の女性。
その隣に立ち、血のついた顔で怪しく微笑む男性。その笑みは、狂気のものだろうか。
その想像の地獄絵図に、筮は震えた。
作「ねえお~ね~が~い~。」
ナ「何してるの?」
作「筮さんが江見さんの事をめちゃくちゃ可愛いって言ってるから、キキに頼んで絵描いてもらおうと思ってお願いしてる。」
だ~か~ら~、何度言ったらわかるの? 今描いてるから! 今! 描こうとしてた! もう本ッ当に今! やろうとしてたの!
白(嘘っぽい……ていうか今その手に持ってるのはゲームのリモコンだよね? 結構高いやつ。)