16 クズ狩り
(キキお姉さんから一言。このお話はあくまであとから登場する人物がやったことであって現在登場する人物は、関係ありません。あとグロ表現もあります。苦手な方はご注意ください。)
「はあっ はあっ……。」
必死に逃げる。でも、相手はすぐに追いついてくる。
相手は人間か? 逃げているときに何度も、何度も何度も、そんな考えが脳裏をよぎっただろう。
――ピチャ……ピチャ……
――コツ……コツ……
暗闇に響くコーンヒールの音。
そして、少し錆びた死神のような氷でできた神秘的で大きな鎌。そこから滴り落ちる真っ赤な血が、おそらくずっと前から放置されている黒くなった血に落ちて、不気味な音を奏でる。
「たっ…助けてくれ…!」
必死に助けを求めても、救いの手など出てこない。
相手は人間か?
――否。相手は人間ではないだろう。
「来るな! 化け物!!」
助けを乞えばほとんどが叶う。そんな世界で生きてきたから「たすけて」なんて言葉が出るんだろうな。
――反吐が出る。
そんな事を考えながら鎌を大きく振って、迷いもなく振り下ろす。
「ぎやぁぁぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!! ぁ、あぁ……――」
豚の鳴き声の方がマシなのではと思うほど汚い断末魔を残して、切り離された左腕を抱えて……呼吸という概念を捨てた。
さっきまで使っていた鎌は、バラッと崩れ、『××』の後ろに浮いている。
××の意志で動く氷のかけらに戻る。
「はあ……。」
そうため息をついて、××は、二度と動くことのない、ただただ腐るだけの体に歩み寄る。
もとは鎌の形をしていた浮かぶ氷のひとかけらをつかみ取り、手に持って死体の心臓あたりに刺した。
××は、大量に浴びた返り血を軽く拭って、死体に背を向け、吐き捨てるように言った。
「さっさと廃れ。人類の生き恥。」
××がそう言った瞬間、刺した氷を中心に、腐り落ちて、骨のみになった。
そして、白骨と化した死体には目もくれず、小さく言った。
「いつになったら、全部駆除し終わるんだろうな…。」
そしてまた、暗闇の中に消えていった。
・・・
「これが例の……青い花?」
葵がつぶやいた。正直、同感だ。
あの後、筮さんに連れてこられてきた場所は、旅館の裏にある大きな池。
その片隅に、青くて綺麗な花が咲いていた。
「これは……蓮ですか?」
僕はそう聞いた。筮さんに連れてこられた場所。そこに咲いていたのは青い蓮。
その蓮に、ちょうど近くに生えている木の木漏れ日が当たり、神秘的な空気が僕らを包んでいた。
「……この花が咲いているこの場所は、そう簡単には来られないのだけれど」
……え?
筮さんが蓮を見つめながら放ったその一言に、本日何度目だろう。もう一度固まった。
「えっあー………そう、なんですか? ならどうして……。」
どうしてお兄さんは、この花の存在を知っていたのだろうか。
数秒間、その場は静まり返った。数秒後、その沈黙を破ったのは筮さんだった。
「どうやって、この花の存在を知ったの?」
「へ⁉ それは……知らない人……が、僕が暇そうにしてたから親切なお兄さんに、ここに、きれいな……花が………あるっ、て………。」
そこで、僕は気が付いた。
「……でも、とっても、親切なお兄さんで……した」
お兄さんは、怪しい人だってことに。
僕が、そんなわけないと思っていると、表情に出ていたらしく、光莉と葵に目をそらされ、筮さんが溜息をついて、少しためらいがちな表情で言った。
「その人がどんな人だったのか、私は知らない。けど、注意しておいた方がいいのは確実でしょうね。」
「……っ! ………でも……でも! 優しそうだったし……。」
「はあ……。犯罪を犯そうとしてる人が、怪しそうな見た目だと思う? 余計警戒されるでしょ?」
そう言われて僕は、納得するしかなかった。
「……わかりました。」
25,10,12修正。
ふあぁぁ…
「…眠い?」
…まあ…人並みには?
「…はあ…。あ、そういえば聞きたいことが…」
あたしにゃないよ。
「××君についてなんですけど!」
はあぁぁ~? 触れないでくれる? あそこで出したの後悔して初登場どうやって早くしようか考えてるんだから。
「………………そ。」




