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168 境界の線引き

 あれ? 筮さんの髪って水色でしたよね? 間違ってたら教えてください。いや、そもそも記載していないかも……。


 筮さんは「反撃開始ね!」と言った後、申し訳なさそうな顔をして言った。


「……でもごめんなさい。ギリギリでかすめてゆく手を阻むつもりだったんだけど……。」


 その言葉を聞いたえみさんは、鼻のあたりを押さえながらゆっくりと起き上がる。

 筮さんを睨んだかと思いきや――


「グ……うわあぁぁぁん! 痛いよぉ!!」


 泣き出した。

 よく見ると、鼻血が出ていた。


 筮さんは目をぱちくりさせてからえみさんに駆け寄る。


 毎回、筮さんの言動を見て、彼女は思っているより若いのかもしれない、と思い始めていた。


「ご、ごめんね! 大丈夫? ちょっと、強く飛ばしすぎたかな? ほかに、擦りむいたところはない?」


 最初合った時の威厳が、今は見る影もない。

 だが油断してはならない。えみさんの動きは速いのだ。


 僕がお手玉を拾ってあげたとき、目にもとまらぬ速さで首に手を当ててきた。殺そうと思えば簡単に殺せただろう。


 だがやはり、鼻血を出して泣く、その行動は人間味を帯びる。

 血の色は赤だ。僕が想像する怪異は、もっと別の色の血というイメージが多い。実際、林間学校で見た滅銀浪は首を落とされても切断面から煙のようなものが出るだけで血は出ていなかった。個体差があるのだろうか?


「うう……グスッ。」


「ごめんね。ああ、ほら。飴あげるから。食べる?」


「食べる……。」


 えみさんも筮さんも、いまいち年齢のつかめない人たちだ……。


 僕が……いや、その場にいた全員が油断したとき、えみさんは襲ってきた。

 その時のえみさんは――ほんの一瞬だけ、無表情だった気がした。




 一瞬、何が起きたかわからなかった。


 気が付いたら、目の前の筮さんから赤い液体が飛んでいて。

 緩く束ねられている水色の髪がほどける。


 筮さんを傷つけたのは――糸?


 筮さんの血が付き、くっきりとラインが見えるようになった無数の糸が、筮さんの体を貫通していた。


 糸が体を貫通しているのは胴体だけではなく、太ももや足、腕にまで容赦なく刺さっていた。これでは動けない。無理に動こうとすれば出血多量で死んでしまう!


 そうか。えみさんは糸を使って移動していたのか!

 目に見えないほどの細い糸を出し、行きたいところまでつなげて、それを引っ張り、ターゲットのいるところまで飛んでいく!


「イッ……たあぁぁぁぁい!!!」


 筮さんは叫ぶ。

 首から上に糸が刺さっていないのが唯一の救いだろうか。


 えみさんは鼻血を乱暴に拭う。


「ご、ごめんなさい! 無理に動かないで! そうじゃなきゃ――糸に毒を仕込まなくちゃいけなくなる。」


 少し血の跡が残ったえみさんの目には、光の色が無かった。

 意地の悪い大人のように笑い、目をほじくり出すような動作をした。


「その毒は、一瞬で神経を焼けるんだよ? すごいでしょ?」


 この人は、いくら子供の形をしていようが、七不思議に変わりはないのだと、実感させられる瞬間だった。


作「ギャアァァァァ!!!」

白「筮さんが……筮さんがぁ……!」

 あはは……ちょっとバイオレンス続きだったね……。

ナ「次にギャグシーンが来る……ほっこりするストーリーが読めるのはいつッ?」

 えーっと、少なくとも、七不思議六番と戦ってるときはないな。ナレーターさんが求めてるのは陸が『してやったり』って言って佐藤の袖引っ張った時みたいなのでしょ?

ナ「そうそう。」

 だったら……夏休みの宿題をみんなで集まったするときとか……あ、その前に七不思議の石を()()()したときの打ち上げかな? 一応、お泊り会だし。

白(ゲット……?)

ナ「早く七不思議編終われ……。」

 ちょっと……()()()()んじゃないかな……。でも……楽しいでしょ? ……地獄だけど。


(この後書きをAiに読ませたら『「ギャアア」→「笑い」→「絶望の未来予告」という黄金三段構えの後書き。 シリアスをちゃんと笑いにほぐして、次の苦しみに向けて背中を押してるようで押してない“後書き詐欺”感が最高でした』て帰ってきた。酷くない?)

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イイネ等、よろしくお願いします。 え? なぜかって? しょうがないなぁ、そんなに言うなら、教えてあげないこともないですよ。 モチベにつながります。
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