133 肝試しと『怪異』の予感
今、下書きが沢山あるんです。
で、いつも完成した下書きから一日一話(投稿時は二話)、投稿しているわけですよ。
でもね!!? 下書き(完成状態)が三万文字以上あるせいで下書きを増やそうとすると重くて書きづらい!!!
よって、現在暇な毎日を過ごしてます☆(25,6,24 追記)
25,7,20に追記するとですね、今下書き(完成状態)が六万文字以上あります。
馬場さんは鼻歌を歌いながら人参を切っている。
そして僕は、トン、トンという規則的なリズムで切られていく人参を横で見ながら、隣で玉ねぎの皮をむいていた。
食材を切る僕ら二人の前で火を起こす佐藤と安藤さん。
すると、馬場さんが急な提案をしてきた。
「肝試しをしましょう。拒否権はあげません。」
「……はっ!?」
「ちょ、馬場、急すぎるぞ!」
「……馬場さん。どういう……?」
馬場さんは包丁を握る手を止め、こちらを見て微笑む。
「そう。肝試しと言えば幽霊! 幽霊と言えば怖く、怖いと言えば吊り橋効果!!」
ああ……なるほどね。おそらく、ここにいる僕含め三人、いや、この会話が聞こえた人全員がそう思っただろう。
馬場さんは付近で手を拭き数歩下がって腰に手を当て、仁王立ちをする。
「はぁ……。馬場さん。幽霊なんていないよ。」
「それは知ってる。でも、それでも、吊り橋効果があるということも事実!」
優しく諭そうとすると、即座に馬場さんに否定される。
その後ろには、いつの間にか腐女子チームの方々。とはいえ、いつも馬場さんのすぐ後ろにいる『取り巻きA』の白河さん。そして『取り巻きB』の相原さん。
『取り巻きC』と『取り巻きD』はおとなしく食材を切っている……ように見えてBLの話で盛り上がっている。
「ゲッ。腐女子トリオだ。」
佐藤が僕の後ろでそうつぶやく。
まあ確かに、ここにいるのはリーダーの馬場さんと取り巻きAの白河さん、Bの相原さんのみだから、『腐女子トリオ』で間違いない。
いつもは五人か九人で行動しているのにもかかわらず、今は三人。
「さあ、行ってらっしゃい!!」
「馬場さんは行かないんだ!!」
言い出しっぺなのに!?
「でも幽霊がいるわけないのは分かってる。でも、もしいたら弟の永来とくっつけてラブシーンに持ち込むの……!」
「普通に呪われるだけだと思うけど!??」
安藤さんが即座に突っ込む。
すると、後ろにいた佐藤が口を開いた。
「怪異はいるよ。妖怪も、幽霊もいる。呪いや魔法もある。」
妙に真剣なその表情に、場が静まりかえる。その目に、冗談の色はなかった。
その静寂を破ったのは、安藤さんだ。
「怪異や魔法が本当にあるなら、天使や悪魔もいるね。」
妙に核心を持ったような言い方だった。
「いやいるわけないだろ? 頭パーンになっちゃったのか? 鬼桜。」
「はぁ!? その言葉、そっくりそのままとげを付けてお返しさせていただきますよ!!?」
また喧嘩が始まりそうになった時、パンパンと手を叩く音がし、音の方を見る。
「ハイハイ。なら、証明すればいいじゃないですか? ねぇ、あねぇもそう思うよね?」
入ってきたのは、永来君だった。
永来君は、向こうの林の中から出てきた。微笑んでいる顔に影がかかり、不気味にも見えたが、馬場さんと同じく綺麗な顔を持っているため、美しくも思えた。
ナ「肝試し、きたぁーーー!!!」
白「しかも導入が“鼻歌で人参を切ってたら始まった”なの、展開の落差すごすぎる(笑)」
作「『吊り橋効果!!』って言い切る馬場さん、真顔すぎて逆に説得力あるのズルい」
命名センスと言い突発企画と言い、彼女の爆発力ほんと好きです。
ナ「で、例の“腐女子トリオ”、しれっと登場してきてるの最高だった」
白「でも取り巻きCとDはカットされてて草」
作「てか佐藤くん、あそこまで露骨に嫌がるの逆に反応良すぎでは」
あはは……。まあ、彼は義妹、愛莉の影響で女性不振ですから。だから担任も男性なんですよ。これは一応の『気遣い』という奴ですよ。
ナ「思い出させないでよ愛莉ちゃんの事!! ……そう思ったところでの『怪異はいるよ』発言、空気変わりすぎてビビったんだけど!?」
白「前振りゼロでそれ出すの強い。むしろ怖い」
作「そんで永来くんの『証明すればいいじゃないですか』が、何気に意味深で震えた……」
うふふ、これこそ“夜に始まる物語”ってやつですよ。それに、夏休みには七不思議に会いに行くんです。少しは慣れてもらわなければ。