131 林間学校と『ピザ配』チーム
「さあ!! 待ちに待った林間学校(二泊三日)!!! 張り切って行こー!!!!」
「「「おー……。」」」
今日は、二泊三日の林間学校に来ています。
クラスで四人グループを作ったんですけど……。
「なんでここにいるんだよ馬場!」
「いーじゃんけーすけくん。男女混合……かは自由ですけども、四人チームを組まなきゃなんですから。」
このチームにいるのは僕、西村と佐藤、安藤さんと馬場さんだ。
「馬場さんは腐女子チームに入ればいいじゃん。」
「それが、無理なのよ。」
佐藤の問いにヨヨヨ……とか弱く演じる馬場さん。
「私達腐女子は九人だから、どうしても一人余るの。」
「そんな……。」
心情お察しします佐藤……実際僕も終わった……って思ってるし……。
「それにしても馬場さん。馬場さんって……弟居たんだね。」
「そりゃいますけど。」
馬場さんの弟。その存在を知ったのは、林間学校で馬場さんと間違えてしまったから。
「はい! 初めまして。いつも姉がお世話になっております。中等部二年、馬場 永来と申します!」
「えいら?」
「永遠が来ると書いて『永来』です!」
それはまた、名前にするには重い名前だ……。
「それにしても、どうして二年がここにいるの?」
「それは、来年には我々二年がこの林間学校に来ることになっているため、代表者数名が来ることになっているのです!」
「すごいね。頑張って。」
「はい! ありがとうございます西村先輩!」
元気のいい子だ。
馬場さんとは大違い。
すると、パンパンと手を叩く音がしてきた。
音の方を見ると、そこにいたのは担任の神谷先生。
「先生。」
「こんにちは神谷先生。二年の馬場永来です。いつも姉がお世話になっております。」
永来君が丁寧に頭を下げて話す。
「こんにちは永来さん。」
先生も軽く頭を下げ返事をする。
その時、佐藤が先生に声をかける。
「ところで先生、何の用ですか?」
「ああ、そうそう。実はチームに名前を付けることになったんだ。それで決まってないのはあと君たちチーム含め三チームなんだけど、名前が決まってないなら先生がつけるよ?」
三チームの方々も異論はないようで、先生の言葉を待つ雰囲気になった。
先生がチームのメンバーを見て数秒考え、口を開いた。
「じゃあ、そこの、鈴木さんと山本君、橘さんと大和さんチームは全員男子だから『男子チーム』。白河さんと相原さんと櫻井、東野さんのチームは……全員腐女子だから『腐女子チーム』で。」
「雑です先生。」
鈴木さん、山本さん、橘さんは名前が出たことあるから聞き覚えあるだろうけど、他の人の説明をしておくと、大和さんはクラスの中心みたいな人。
白河さんは馬場さんの取り巻きA。いつも右側に立っていることが多い。
相原さんは取り巻きB。左側に立つことが多い。
櫻井さんはC。右後ろ。
東野さんはD。左後ろ。
今思ったけど、この四人はずっとBL談義で盛り上がっていそうだから同じチームじゃない方がいいんじゃ……。
最後に先生がこのチームのメンバーを確認して、しばらく黙る。
「……じゃあ……『妄想の餌食チーム』で。」
「ぜッッたいに嫌です。」
佐藤が即答。
先生はフイッと顔をそらした。
「はいはーい。じゃあ私が命名していい?」
と言ったのは馬場さん。
皆が息をのむ。その中で弟の永来君のみ「あねぇはこういう時にふざける方ではありません!」と言っていた。
「私は、『ピザ配』がいいな!」
「「「は?」」」
「さすがあねぇ! ネーミングセンス抜群です!」
「馬場さん……。両親と同じく……独特なネーミングセンスをお持ちですね! はい……先生は否定したりしませんよ!」
ナ「なんで“ピザ配”なの!!?? 理由言ってよ、説明求む!」
白「ていうか先生の命名センス、雑of雑すぎて逆に笑った……『腐女子チーム』って」
作「それに馬場さん、『あねぇはこういう時ふざける人じゃありません!』って弟が言ってる横であれはもう爆弾よ……」
真顔で「ピザ配」と命名するスタイル、嫌いじゃないよ……。
ナ「そして永来くん、明るくて真面目で好印象すぎる……! 馬場さんと違って!」
白「“永遠が来る”って意味の名前って、重くて綺麗だよね……」
作「姉弟セットでバランス取れてる感すごい」
ナ「あと白河さんとか相原さんの位置関係までさらっと書いてるの地味に好き」
白「“右前”“左後ろ”ってモブなのに視覚化されてる……細かい!」
作「そんで佐藤くんが『絶対イヤです』って即答するところ、テンポ最高」
今までの鬱→夢→狂愛→心理バトルと来て、一旦ゆる〜く林間学校。でも……油断しちゃダメです。このチーム、たぶん、平和には終わらない。ふふふっ。