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130 夢だと分かっていても


 ――夢だと分かっていても、怖い。


 ――怖さを追体験させる、夢――。


『今日は里帰りじゃのう✘✘✘!』


『毎回姫までついてくる必要はないと思います。』


『冷たいやつじゃのう……。そなたの兄はいつもわらわの好きな物を作って待ってくれているのじゃ!』


『姫の為じゃなくて俺の為です。』


 そんな会話を、何度もした会話だ。

 もう一度はなしたい。こんなバカみたいな会話を、もう一度したい。




「……また、ここか……。」


 何もない空間。

 あるのは真っ黒な地面。そこには20センチほどの水。

 どこまで歩いても壁はなく、天井もない。


 しばらく歩く。

 ジャボ、ジャボ、と歩くごとに水が音を立てる。


 この歩きづらさにも、もう慣れた。

 何回目だろう。この夢は。


――ぽちゃん


 ハッと顔をあげる。

 まただ。しばらく歩いて、音がする。

 条件反射で顔をあげて、悪夢に成った日を思い出す。


「……兄者(あにじゃ)。」


 目の前の男はこちらを見て、何かをしゃべった。

 いつも聞こえない。そしてここら辺から、体が動かなくなってゆく。


「兄者。兄者!!」


 必死に手を伸ばす。

 その手に違和感を覚えて、自分の手を見る。

 鼓動がうるさい。


 その手は、細くて、白い。肌は滑らかだが、男の手。


「ッ……✘✘✘の手……!」


 男は自分に背を向け、向こうに歩いてゆく。

 その隣に、二人の男が――ん?


 ――()()()()()()な?


「……兄者ッ!!」


 伸ばした手を、誰かに捕まれる。

 子供だ。15にも満たない子供の手。


 大きくて14ほど。しかも病気のようで顔色が悪い。

 そんな子供がもう一人増え、そしてもう一人――。


 大勢の子供が、自分にしがみつく。

 そんな中で、必死に兄を追いかける。


 目の前に、靄が現れ――その中から、()()()()()が現れた。


 その黒髪は、すべてを吸い込んでしまうような……。

 そう――言い表すなら――。


()()()()()()()。」


 自分の声でも、聞きなれてしまった子供たちの声でもない声に、顔をあげる。

 そこにいたのは、先ほどの『増えた』一人。


「だよな!」


 ニカッと笑って走ってゆく。

 その少年は、()()だった。







「マスター。マスター!」


「……ん?」


 目を覚ますと、そこはいつも通りの、ベッドの上だった。

 『マスター』と呼びかけをして起こしてくれたのは、昔拾った少年。


 時の流れとは早く、もうこんなに大きくなった。


「おはよう。」


「おはようございます。」


 いつも通りのあいさつを交わして、ベッドを降りた。


ナ「うわ……これは、静かで怖いやつ……」

白「“夢だと分かっていても、怖い”っていう一文、地味に効いてくる……」

作「水の中をひとりで歩く描写、もうゾクゾクした……ジャボ、ジャボ、って音まで聞こえてくる感じ」

 今回の夢は、音と重力と静けさで構成された“怖くないのに怖い”世界でした。前のは超狂愛的だったから……。

ナ「『兄者!』って必死に叫ぶあの声、切なさと焦りが混ざっててしんどい……」

白「しかも“手が違う”って気づく瞬間、ぎゅっとなる」

作「“一人、増えてるな?”の一文、さらっと恐怖叩き込んできて鳥肌立った……」

 うん。言っておくけど『✘✘✘』はネタバレだから隠してるだけだよ?

ナ「そんで最後に現れる“赤髪の少年”……もう誰だよ! 気になる! 明るいのか不穏なのか、どっち!??」

白「そして“黒髪の自分”がブラックホールって……概念として強すぎる……」

作「夢の断片が“誰かの記憶”で、“誰かの未来”なんじゃないかって思わせてくるのズルい……」

 正体は……まだ秘密。でも、次回以降でヒント、きっと落ちてきます。というより、『ブラックホール』は前に一回出てきたと思うけど? ほら……。

作「あッ」

白「もしかして……」

ナ「『ブラックホール』って……」

 はいはーい。ネタバレでーす!

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イイネ等、よろしくお願いします。 え? なぜかって? しょうがないなぁ、そんなに言うなら、教えてあげないこともないですよ。 モチベにつながります。
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