表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/246

122 眠気と筮さん


「………佐藤くんじゃないのぉ。」

「もしかしてなんですけどさっきまで俺って気づいてなかったりします?」


 無意識にノータイムツッコミを入れてしまった後、筮は数秒の沈黙のすえ深刻そうな顔をして頷いた。


「そうねぇ……。まあ、そうですねぇ……。」

「筮さんもしかして眠いですか?」


 また数秒間、筮さんの返事を待つ。


「ねむ……ぃ……。やっぱり……眠くない……。」


 今だけ筮さんが年下に見える……。


「……あのー、とりあえず、出してくれません? 落とし穴の中だと見上げる体制になって首が辛いんですよ。」


 沈黙。


「ごめんなさぁ……いねぇ……。実は薬の実験に失敗して、眠気が……。」

「今すぐその眠気を何とかしてくれないと困ります!」


 数秒の沈黙。


「わ……かっ……たあぁぁぁぁ……。」

(あ、ヤバい。限界が近い。)


 またもや数秒間の沈黙……。


「……筮さん? 筮さん!?」

「クー……。」


 かすかに聞こえる寝息。この寝息は、”希望の光終了のお知らせ”でもあった。


(この人に助けを求めたのは……間違いだったかもしれない。)


 夜……だが、こればっかりはそうも言っていられない。大きく息を吸い込んで、叫ぶ。


「起きろ筮さぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!!」


 筮さんがびっくりして目を丸くする。よかった。目を覚ましたみたいだ。




「いやもう驚いたわよ。」

「すいません。」

「耳鳴りがして鼓膜破れるかと思ったんだからね?」

「ごめんなさい。」

「旅館に泊まってる人がたまたま少なかったからいいけど、苦情が来たことには間違いないんだからね?」

「わかってます。」


 今、ドアのない部屋、で眠気の冷めた筮さんにこっぴどく叱られています。


「……というより筮さん。俺が落とし穴に落ちたとき、ずいぶんと落ち着いていましたけど、前にも落ちた人がいたんですか?」


 眠かったのも理由としてあるだろうが、俺と認識するまでに時間がかかったのも気になる。

 筮さんは数秒考えてから答えた。


「いたわよ。前にも三回、同じようなことがあったんだけどね……。」


 筮さんが遠い目をして語りだす。


「その三回とも、同一人物だったのよ……。一回目が幼稚園くらいの時。幼馴染四人ではまっていたわ。」


  ため息交じりのその言葉に、苦笑いが浮かぶ。


「で、二回目が小中学生の時。幼馴染の一人、おそらく彼女になった人を連れて落ちていたのよ。」


 リア充死ねと思ったわ……と付け加える。


「三回目は高校大学生くらいかしら。彼女から妻にグレードアップした人物と子供を連れて落ちていたわ……。というより、二回目の人物とその妻と子供、他にも三人落ちていたから、計六人で仲良く落とし穴にはまっていたわ。」


 学習しねぇなぁ、というの率直な感想。まあ仕方ないだろう。


「その時私はああ……また落ちたの……という反応をしてしまったわ。」


 その時、反応に迷ってしまった。

 なぜなら、落とし穴に落ちた人物がだれかわかってしまったのだ。


白「……ついに、筮さんのテンションと佐藤くんの温度差が限界突破したなね。」

作「寝てんの!?  起きてんの!?  いや、どっち!?  ってなるやつ……。」

ナ「“ねむ……ぃ……やっぱり……眠くない……”のリズム、脳内再生余裕だった……」

 そう? なのか? まあ、そうか。もうそれ、幻聴レベルで聞こえてくるよね。

ナ「あとさ、まさかの無限ループ展開きたなこれ……。」

白「というか、“わ…かっ…たあぁぁぁ……”が1話に何回出てきたんだ!?(笑)」

作「でも地味に“落とし穴の中だと見上げる体勢で首がつらい”が一番リアルでツボった。」

 気づいてくれてありがとう、そこ伏線じゃないのに一番リアルになっちゃった……。

作「で、筮さん結局薬の実験って何してたん?」

白「それによっては彼女、マッド寄りか天才寄りか変わるよ……?」

ナ「俺的には、“うっかり爆睡タイプの最強キャラ”ってことで定着してる(笑)」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イイネ等、よろしくお願いします。 え? なぜかって? しょうがないなぁ、そんなに言うなら、教えてあげないこともないですよ。 モチベにつながります。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ