109 迷いの直感
「ダメじゃないですか……。」
「ダメなんですよねぇ……。」
呆れだ。呆れしか浮かばない。
本当にどうしようか……。
「……こういう時は、直感だ! ……でも、正しいかどうかは――知らないけど。」
迷ったときは直感……ではなく、魔法だ。
だが優斗の前で大っぴらに魔法を使えない××は、直感のふりをして多少の間違いを入れながら家へ向かう事にした。
(直感……?)
優斗は、血迷ったのか……と思いながら春日に従った。
だが××は、血迷ったのか、とでも言いたいか? と思っていた。
まずは××がばれないように魔法を使い、位置と道筋を調べる。
「まあ……向こうに……行ってみよう!」
義弟ならば、それを意識してしゃべる。思っているより難しかった。
思ったより難しくともやるしかない。
……でも。
「難しいんだよなぁ……。」
ため息交じりにつぶやく。優斗には聞こえていない。
義弟に連絡するのもいいが、さっき連絡手段はないと言ってしまったため、今はというか無理。今じゃなくても無理。
誰だよ、こんなことにした奴は。
「まあまあ、適当に歩くか。」
優斗は本当にそれでいいの? と問いそうな顔をしているが気づかないふり。義弟なら相手の感情に気づかないだろう。
そうして歩き始めて数分後・・・
ずっと黙っていた。いや、本当はなんとなく話してはいるが相手の返事はないため一方的に話しかけているだけだ。それは会話ではないので実質……実質……なんだ?
「そういえば、川に飛び込もうとした理由って何ですか?」
これは聞いておこう。報告の為だ。
勝手に動いたことで注意はされそうだが、叱責はされないために聞いておいた方がいいだろう。
「………………。」
わかっていた。結局ここはだんまりだろう。
「……高校生だよね? だったら人間関係の悩みか……いじめか? それとも……興味本位?」
優斗は黙って首を横に振る。
「……そうだなぁ……。まあ、他人に話したりしないよね。」
ため息をついてそうつぶやく。
相手に心を開いてもらう方法は、そんなに多くのバリエーションはないと思っている。
時間をかけて仲良くするか、こちらから心を開くか。パッと思いつくのはそれ。
子供だったら前者しか知らないだろうが、ここは一応大人(?)として後者を選ぶ。
というより、この状況では後者を選ぶ以外はない。
「……ちょっと、俺の話をしてもいいかな? でも、その話を聞いて――お前はどう思う?」
次こっちだから、と言って右の角を指さす。
作「過去の話? それとも今の心情?」
さあ?
ナ「え、作者は知らないの?」
作「そりゃあ、私が作ったキャラというわけじゃないから……。」
白「そうなの?」
作「そうだよ?」
そうだねぇ。作者が作ったキャラじゃないから……ムフフフフフフフ……。
ナ「きもくね?」
作「きもいわ……。」
傷つく!