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104 恐怖心の境界線


 寝不足だ……。


「優斗さん? 大丈夫ですか?」


 朝、あの後全然寝れなくて現在寝不足状態。

 ふらふらとした状態で食卓に着くと、陸が心配の声をあげてくれた。


 トイレ行こ。


 ふらふらの足取りでトイレへと向かう。


 トイレを出てリビングに戻ろうとすると、足が何もないところで……というより、自分の足にひっかけてこけてしまう。


 あ、ヤバ。こける……。


 けがを覚悟して目をつむる。

 しかし、いつまでたっても痛みは襲ってこない。

 それどころか、後ろから引っ張られてる気さえする。


「……?」

「ばっかじゃないの優斗。なんもないところでこけるなんて。」


 どうやら、空が助けてくれたようだ。


「なんでそんなにふらふら……あ、寝不足?」


 ご名答。いや、伝わらないか。


「マジ? あたり?」


 なんでわかんの?


「……まさか優斗、寝不足の原因が分からないとか言わないよな?」


 何を言う。100(パーセント)お前のせいではないか。

 すると空は少し笑う。


「優斗、それは恐怖心っていうんだよ。」


 なわけないだろ。

 いや、即答の否定はよくないな。

 ……うん。多分、今でもどこかから監視されているのかと思うとキモチワルくて寝るに眠れない最悪の夜でした。はい。


 ……でも、恐怖心なのかもしれない。

 俺は多分、恐怖心と気持ち悪さの境目があいまいなんだ。

 ……そうか……。


「……これが……恐怖心なのか……。」


 でも、それなら――俺はどうすればいい? この感情は、家にいる時いつも抱いている感情とほぼ同じだ。


 ハッと気づいた時には遅かった。

 空がポカーンとしている。


 なんだ? 何かおかしなことを言ったか?

 いや本当にしゃべったのか?


 自分でも信じられない。


「……優斗が……笑った!?」


 ……もしかして俺、さっき……笑ったか?


「もっかい! もう一回だけ笑って優斗! 陸用に準備したアイドルオーディションの紙に貼るから!!」


 いやだから要らないって……ん? ()()


「………………。」


 言葉が出ないよ。いやいつもの事だけど。

 こういう時はなんていうんだっけ。ブラコン? それともシスコン?


「絶対今失礼なこと考えてるでしょ。」


 チッ。バレたか。


「優斗って案外……ちゃっかりしてるよな。」


 そうか?


「そうだよ。」


 今気づいたけど、なんでわかるんだ?

 テレパシー極めてんのか?


「俺は人間はやめないよ?」


 やっぱ極めてる。


「まあまあ優斗。さっさと戻ろう。」


 お前が足止めしてたんじゃなくて?


「冤罪押し付けんのやめてもらっていい? 仮にも命の恩人よ?」


 命の? ……ああ、昨日のアレか。

 なんだろう。実感はないな。


 でもやっぱりあの隠された部屋の中身が気になる。

 俺が鍵を持っているから中には入れないかもしれないし……。合鍵があるかもしれないし……。俺が持ってる鍵が合鍵なのかもしれないし……。


 ………………。

 やめだやめ! よし。次来た時に調べよう。(次なんてない方がいいがな。)



 こうして……波乱の五月が幕を閉じ――





          ――六月が幕を開ける――

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イイネ等、よろしくお願いします。 え? なぜかって? しょうがないなぁ、そんなに言うなら、教えてあげないこともないですよ。 モチベにつながります。
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