第8話 複合魔法
「さて、そんじゃ早速!」
『アイテムボックス』からアースドラゴンの魔核を取り出す。
売れば相当な値段になるから迷っていたけど――。
「え? そんなの取り出してそうするの?」
「こうする!」
魔核を思いっきり足元に叩きつける!
「あーっ! 私たちの思い出の品がーっ!」
「まぁまぁ、見ててよ!」
魔核から、器をなくした魔力が溢れでて――。
「こうやって吸収すると……魔力の上限が上がるんだよ!」
「そうなのっ!?」
魔法国家の研究所で仕入れた情報だ。
他国に有利をとるために秘匿していたらしいが……。
「強力な魔物の核程伸びるんだ。だから、できれば強い魔物と戦いながら向かいたい」
「なるほどなるほど~っ!」
「実際に強い魔物と戦って貰うのはイセになるかもしれないけど――」
「うんうん! 私に任せていいよっ!」
◇
「結構奥の方に来ると魔物いっぱいいるんだね~……」
「そうだね」
マリーノの街を出て、アースドラゴンがいた場所を越え……。
そもそも大氾濫となるくらいだから、魔物の数も相当多く見かける。
「ここまでもゴブリンやコボルトとか、結構いたし!」
「全部イセがワンパンしてたけどね」
ワンパンっていうか小石投げて破裂させてた。
ちょっと怖い。
さすがにその程度の魔物は解体するのが面倒なだけなので燃やして終わり。
『アイテムボックス』の容量的にも厳しいしね。
「グルル……」
「お、あいつは確かハイオーガ」
前方に棍棒を持った鬼のような魔物が見えた。
獲物を求めて徘徊しているようだ。
「なかなか強そう……私の出番ね!」
「いや、あいつ程度なら……俺がやるよ」
「へ? 大丈夫? 私に任せてもいいんだよ?」
任せて欲しすぎっ! ありがたいけど!
「確か……危険度はBくらい、あいつくらいなら問題ないよ!」
「わかった……でも危なくなったら私がやるよ!」
「うん、頼む!」
といいつつ、彼女の世話になるつもりは無い。
先ほどのドラゴンの魔核で魔力上限も上がった。
つまり、【ギフト】レベルも上がっている!
「『フレイムランス』」
「すごい! レベル3の炎魔法じゃないっ!」
アースドラゴンのおかげ……と、そして!
「『アースランス』! からの――」
「え!?」
魔法を融合させる!
これぞ【ギフト】を複数持てる俺だけの必殺技!
名付けて――複合魔法!
さらにそれを……【魔力操作】の補助を受けて複数展開!
「『コメットレイン!』」
「ゴァッ!?」
こちらに気付いたハイオーガだが、もう遅い!
「すごいっ! まるで雨のように燃える槍が――!」
「ギャァァァ!?」
いくつもの燃える石槍が周囲諸共ハイオーガを串刺にする。
「――ア、ガッ……」
いくつもの風穴があいたハイオーガが力なく倒れ――絶命する。
「わぁ~! あっと言う間だったね!」
「ふふん!」
どうよ、これが俺の実力!
「あ、やばっ」
とはいえ……森の中で火なんか使ったらあっと言う間に大火事なんですけど!
他の魔法にしとけばよかった!
「後始末は私に任せてね!」
「えっ!?」
イセが近くにあった木を引っこ抜き――え!?
「とぉぉりゃぁぁぁぁぁっ!!!」
「――!?」
野球のバッティングのように木を振る……。
驚くほどの風圧で、火は一瞬で吹き飛んで消滅してしまった。
火どころか周りの物全て一緒に。
「……す、すごいね……イセも……」
「えへへっ! 共同作業、だねっ!」
さ、さすが! 頼りになるよ!
ぜ、全然怖くなんかないし!
******
「ふ、ふぇぇ~……」
「ぴぃぃぃ~……」
◇
「ところで、その知人さんって……女の人?」
「……」
そうなんだよ。
そうなんだけど……なんて説明したらいい?
「そう、とも言えるね」
そうではないとは……言えないね。
「……ふ~ん」
……。
「で、どんな出会いだったの?」
「……ん?」
人柄ではなく出会い方?
まぁ……いいか。
「そうだね。道のりも長いし、ゆっくり話しながら行こうか。あれは――」
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