第5話 スイセンノウ
「……んん……?」
鳥のさえずりで目を覚ます。
昨夜は………………あ。
ああぁぁぁっ!!!
つ、ついに……!
夢にまで見た……!
イセとのセッ〇ス!!!
何だか……今まで以上にイセのことが……。
「……いかんいかん、イセは……?」
「あっ! お、おはよぉ~……」
恥ずかしそうに俯く彼女……が、その背に何かを隠したのを見てしまった。
「……何か隠してない?」
「う、うううんんんっ!」
どっち!?
「……」
お、俺は……彼女にどこまで踏み込んでいいのだろうか。
好きなのはもちろん大好きなのだが……彼女からしたら昨日出会ったばかりの男。
彼氏面するのは気持ち悪いか……であれば俺は……。
いや絶対に幸せにするって気持ちは誰にも負けない!
いやいや、その考えが気持ち悪いのでは――!?
「ふ、ふ~ん? 別に興味ないけど、何を隠したのかな~? 別に興味ないけど!」
「……ぷっ! 知りたいならそういえばいいじゃないっ!」
な、なぜバレてしまったのだ……!
本当は知りたくて知りたくてしょうがないってこと!
「ふふ。ちょっとね、手紙を書いていたのよ、手紙! あなた宛てのね!」
「え? 俺?」
それなら直接言えば……。
「今はダメだけど……いつか渡すから、それまで待っててね!」
「……わかった」
そう言われたら……待とうじゃないか。
なに、俺は何万年も同じ時を繰り返せる我慢と忍耐の化身! ちょっとくらい待つさ!
「……ちなみに、良いこと? 悪いこと?」
「さーて、どっちでしょうねっ!」
そう言いながら顔を近づけてきて――。
「ん~ちゅっ! はい、これならわかるでしょっ!」
「……はい」
……。
やっぱりっ!
だから言ったんだ!
このままでは前に進めないぃぃぃっ!!!
******
「……どこいっちゃの……?」
「ぴぃ~~~っっ!!!」
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