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第3話 何だか距離が近くないですか?


 失敗してもやり直せた。

 自身の記憶や継承(けいしょう)した【ギフト】も引き継げていた。


 それが……もう……。


「……大丈夫だよ、私が守ってあげるからね……」

「――ぁ」


 呆然としかけた俺を……イセが抱きしめてくれる。


「……大丈夫、大丈夫」

「……」


 ……さっきから初めてのことだらけだ。

 謎ピンクも、イセのお漏らしも……こうして抱きしめてくれることも。


 ……。


 ……。


 ……。


「……ごめん、もう大丈夫!」


 切り替えの早さは死に戻りの繰り返しで培った俺の力!


 【ロード】がないならないで頑張らなきゃ!

 なぁに、1度は邪神を倒すところまでいったんだ! 問題ない!


「……うんっ!」


 何度も救われた明るい笑顔。

 彼女を守るためにも……落ち込んでなんかいられない!


「さぁて! 早速――」

「早速行きたいところあるんだけどっ! いいかなっ!?」

「あ、はい」


 もう流れに身を任せよう。

 どうせしばらくは地道に魔力を上げていくしかない。




「……」


 イセと並んで歩きながら、しばし考える。

 これから地道なハンター活動をして路銀(ろぎん)を稼ぎつつ魔力を枯渇(こかつ)させて休息して、それを繰り返せば魔力上限も上がる。そしておよそ1か月後にこの街を大量の魔物が(おそ)うからそれまでに力をある程度取り戻さなきゃいけない。この魔物の大氾濫(スタンピート)が彼女を救えるか否かがかかっている最初の関門。これを乗り越えられず何度悔しい思いをしたか……思わず、握った彼女の手に力を――。


 ん?


「あ、あれ……? 手、いつの間に……」


 いつの間にか手が……温かくて柔らかくて……。


「あ、あはは~! 何があるかわからないからね! しっかり握ってようね!」

「へっ?」


 こんな街中で何があるのだろうか……。


「……うん」

「えへへっ!」


 しかし抗えなかった。

 

「……」

「……」


 まるで付き合いたての恋人のように手を繋いで歩く。

 長い時の中で何度も夢見た状況に――。




 ◇




「さ、今日はここで魔物をハントしよう!」


 いつの間にか腕まで組んで歩いてきたのは、件の大氾濫(だいはんらん)発生源である深い森。


「……えと、俺はまだ駆け出しなので――」


 安全に薬草とか毟りたかったんですけど……!


「大丈夫大丈夫っ!」

「ってちょっと待って!」


 すたこらと早歩きで進んでいくイセ。

 腕が痛いんですけど!


「この先は本当に危ないと思う! 引き返そう!」

「ぴっ! ぴぃ~っ!」


 森の奥には……大氾濫(だいはんらん)発生の原因であるアースドラゴンがいるはずだ。

 今の彼女ではどう転んでも勝ち目はないだろう。


 謎ピンクもイセの頭を叩いている。


「……私が心配? それとも自分が心配?」

「えっ!? そりゃもちろん――」


 自分もだけど……。


「イセさんです! さっき初めて会ったのに変に思うかも知れないけど……あなたが危険な目に合うのは絶対に避けたい!」

「……むふふ!」


 そういって笑う彼女は――。


「大丈夫! 私に任せてっ!」

「――ちょっ!? お姫様抱っこ!?」


 俺を抱えて木から木へと飛び移りながら森の奥の方に進む彼女。

 最早距離が近いとかじゃない……身を任せるしかなかった……。







 ******


「ぴぃ~……」

「……みちゅけた……」


 ◇


 アースドラゴン。

 翼こそないが、5メートルを超える巨体に(たくま)しく発達した全身の筋肉。腕の一振りで大木を容易(たやす)く吹き飛ばす。

 さらに身に(まと)(うろこ)は物理的にも魔法的にも高い防御力を備えており、少なくともレベル6の攻撃手段がなければ傷ひとつ付けられないだろう。


 ギルドが定めた危険度ランクは上から二つ目のA。凄腕(すごうで)のハンターと言われる人間が何人も束になってようやく倒せる、国を挙げての対処が必要な魔物。


 文句なしの圧倒的強者が今――。


「あはっ! ちょうど木から飛び降りた先にドラゴンがいて落下の衝撃で死んじゃったみたいねっ! ラッキーっ!」

「……」


 死因、頭部の破裂。


「でもでも! きっとこれでドラゴンに恐れをなした周りの魔物が食料や安全を求めて街を襲うってこともなさそうね!」


 やけに説明口調だとかそんな衝撃だったらこちらも無事じゃすまないとか……。

 いろいろ飲み込む! そんなこともうどうでもいい!


 俺は遂に見てしまった! 木から飛び降りる瞬間、彼女の足が光り輝くのを!


 そんなことあり得ないと思っていたが!

 目の前の光景こそあり得ない!


「イセ! もしかして君は――」

「ぴぃぃぃぃーっ!!!」

「うわわわっ!? ちょっとやめっ! ごめんなさいって!」


 ……置いてきたと思った謎ピンクがどこからか現れ、イセに(おそい)いかかる……。

 邪魔すんなよぅ……。


「……あのさ、イセ。聞きたいことがあるんだ」


 謎ピンクを鷲掴みにしながら、改めて問いかける。


「もしかして……前世というか、今までの記憶があるんじゃ……? それに能力も!」


 あり得ない。わかっている。

 何度繰り返しても、記憶の引継ぎは俺だけ。


 だけど……あまりにも……!


「へ? 何のこと?」

「……」


 と思ったが……。

 やっぱりそんなことはないのか?


「あなたとは今日が初めましてだし、こんな森の奥にまで来たのは初めてだよっ!」

「…………そ、うか……」


 期待が外れ……落胆している俺から謎ピンクを掴み取るイセ。

 それのほっぺたをいじりながら後ろを向く彼女を呆然と見つめる。


「けどね! 前世があって、毎回出会って、何度も助けてくれてるとしたら……きっとその男の子は私のこと大好きだよねっ!」

「……そうだね」


 そうだよ。







 ***


「…………ふ~ん」

読んで下さりありがとうございます!!!


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