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能登羽警部のバカミス事件簿  作者: 恒河沙
窃盗団の殺人
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窃盗団の殺人

「俺達は奴らを皆殺しにする。」


 小谷は今日のために集まった仲間達にその言葉を投げかけた。皆は小林と同じように決意を持った目をしていた。


「奴らは1年前、俺達は奴らに手も足も出ずに負けた。


 だが、それは奴らが”あれ”を盗んでいたからだ。俺達の情報は奴らに漏れていた。


 だから、盗まれた。


 でも、今日はそんなことは無い。俺達は今日、必ず奴らに復讐をする。今は亡き仲間達も見守っていてくれるこの場で、”あれ”を使って奴らを殺す。


 奴らに帰る場所はない。全員を殺す。1人として、逃がさない。


 そして、こちらにも死者が出るだろう。それでも、目的を見失うな。


 1人やられても、2人目がどうにかすればいい。2人やられても、3人目がどうにかすればいい。


 犠牲を出してでも、全員じゃなくても、必ず帰ってこい!」

「「「「はい!」」」」


 全員の声がそろった。皆、今日のために、奴らを殺すためだけに、ここに集まったのだ。


 だから、必ずやり遂げる!


___________________________________________________________________________



 小谷は奴が盗もうとしていたことに気が付いた。小谷はそれを気が付かないふりをする。小谷は急に振り向くと、早とちりした奴は飛び出すように逃げ出した。


「馬鹿め!」


 奴が走り出した先には杉谷がいた。奴は引き返そうとしたが、引き返す先には中田がいた。小林は奴を仲間と協力してはさみうちにした。


 観念した奴はその場で立ち尽くす。小谷は諦めた奴に手に持った”あれ”で刺した。


「1人目。あと26人。」


 小谷は殺した相手に目もくれず、持ち場に戻った。そして、2人目に向かって、”あれ”を投げつける。2人目、3人目は手も足も出ずに殺された。


 順調だと思われた計画はそれまでだった。


 小谷の仲間も3人手も足も出ずに殺された。


 その後、一進一退の殺し合いが続いた。


「やばい! このままじゃ消耗戦だ。早くしないと!」

「落ち着け、まだだ。


 まだこちらが1人でも殺されずに帰ってくることができれば勝ちだ。」

「……俺達2人が生きて帰れると良いな。」

「そういう絵空事は勝ってからだろう。


 ……それでも、お前だけは死なないでくれよ。」

「もちろんだ!」


 杉谷は笑顔を小谷に送った。小谷は杉谷に笑い返した。


「中田ああああああああ!」


 中田の攻撃途中に、奴らは中田に死を与えた。俺は中田に駆け寄るが、既に死んでいた。


「……大丈夫だ。俺が敵を討つ!」


 杉谷は小谷に向かって、そう呟いた後、中田の敵《《かたき》》に向かって、宣戦布告を送った。


 しかし、相手は1人で俺達の仲間を20人以上殺している奴だった。とても杉谷がどうにもできる相手ではなかった。


 それでも、杉谷はその相手の正面から迎えうった。


 杉谷は粘った。ギリギリの所で、死を避けていた。杉谷が攻撃しているのに、防戦一方だった。


 その時、小谷は杉谷がしようとしている真相に気が付いた。


「や、やめろ……。


 それは、俺を生かすために……。」

「お前が言ったんだろ! お前1人生かして帰せば、こっちの勝ちだ。


 その時、俺はいらない。」


 杉谷がそう呟いた後、轟音が鳴り響く。


 小谷はその轟音を合図に走り出した。


 小谷は生きて帰ることができた。


 杉谷の犠牲で、奴らとの殺し合いに勝った。




 最後に見た杉谷の顔は笑っていた。

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