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僕は転移し魔女と出会う  作者: けんT
第1章 ランデブー編
8/21

08話 シュールストレミング

拝啓、昨日の自分へ。

なんであんなやすやすと“掃除”を引き受けてしまったんだい。

今日の自分は計り知れなく大変です。

水泳の授業のときお腹に力を入れる人のような痩せ我慢すら難しいかもしれません。

さて遠回しに言うのは止そう。

自分を偽ってもこの胸からくる思いは止められない。


「おらぁ!早く運べぇぇぇ!」


「イエッサァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」


ちきしょう!昨日の自分のバカヤロウ!

そんな僕は土方のような服を着てとにかくクセェ、アメーバ状の何かを切磋琢磨とある人のところへ運んでいた。


「やあ、やあ、性が出るね〜ハクくん。」


僕は息を切らしながら頷くほかなかった。


「うへ…じゃ、いきますか。」


「オッ…オネガ………。」


精霊火葬(エグゼビュータ)


地獄のような業火でスライムを水蒸気にして空中で分解された。

この人は“ヴェルメ”さんという。

自称魔法のエキスパートだ。

小柄な身体に桃色の髪が右往左往しており髪などの手入れはできていないと思う。

あと右目が青、左目がオレンジの瞳がかっこいい。

多分女性だ。

多分…。


さてショゴスの掃除内容は単純明快だ。

ショゴスの死体を開けたところに居るヴェルメさんのところに置き、焼却処分してもらうというものだ。

当たり前なのだが開けた場所で燃やすのは森や山に火が移らないようにするためだ。

だがその点を加味してもショゴスの死体と開けた場所までが遠すぎる。

遠すぎるんだ!

しかも人数足りない!

僕とヴェルメさんとヘルムさんだけって馬鹿だろ!!?

僕は3周目なのに対してヘルムさんは20周目を回ったところで僕は考えるのを止めたよ。

この世界で自分はあまりに非力だった。

ある意味畏敬と尊敬の念を抱いて昼食まで頑張り抜いた。


昼時、青い鳥が空を駆けていくその様子をただ眺める。

ショゴスからまたかなり離れた場所で昼食を取っていた。

クサいしね!

ショゴスは!


「ハクお疲れさん!」


「うへ、初めてにしては上々なんじゃない?」


「ふぁわっす!(あざっす)」


エルフから貰ったお手製のパンを頬張りながら言った。

食欲は軒並み平均だがこうも腹が減ると食欲が倍以上になるらしい。


「午後は休んでいろ、何事も慣れが必要だ、何も1日で覚える必要はないからな!ここまで一生懸命やってくれてありがとよ!ハク!」


不意に言われた言葉。


「おい?ハク?」


「うぇ、良くないなハクくん泣かせた〜。」


「ごめーん!そんなつもりではなかったんだー!」


パンを頬張った頬に暖かな涙が伝っていた。

優しくされると涙腺がゆるくなってしまうようだ。


【そろそろ受験だろ、遊びは控えろ。】

【絵の具?捨てたわよ、勉強に必要ないじゃない。】

【夢見てんじゃねぇよぉ!】

【愚図がッ!】

うるさい。

煩い。

ウルサイ。

五月蝿い。

【お前は世界に必要ないんだよぉ!】

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーおばあちゃん…


「うーん…まぁ泣きたければ泣きなね、ヴェルメお姉さんは優しく受けとめてあげるから。」


母性に蹲りながら僕は泣いた。

ギャグとシリアスの混合。

これぞキャロル!!!

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