14話 またね
外に出て岩が盛り上がった場所に来た。
さて僕は今、少し気持ちが沈んでいた。
そうこの僕、白々ハクの適正魔法属性は“影”なのである。
ぱっとしない。
その一言に尽きる属性であった。
ていうか僕のことを陰キャだと言いたいのかコンチクショウ!
「さてと、ハクくんはまず影魔法の基本中の基本である、“影蜃気楼”を覚えてもらいます。」
「影蜃気楼?ちなみに覚えられなかった場合どうなるんですか。師匠(仮)。」
「師匠(仮)は余計です。覚えられなかったら魔法の才能もないということになります。だって適正魔法属性は自身の伸ばすべき力、それが使えないとなればそもそも他の魔法なんて使えない…という感じですね。」
「頑張ろ!」
さて彼女の言動からも分かる通り、魔法を使うためにとにかく頑張らねばならない。
だって使いたいんだ、魔法を。
男子が夢に見る闇の力を。
夙夜夢寐。
そもそも影蜃気楼とはどういう魔法なのだろう。
「影蜃気楼は自身の魔力を通じて影を物資化させ、それを飛散させる魔法。ようは目眩ましだね。」
「まあ最初に扱う魔法だし、ちゃちゃっと習得しよう。よしいくぞ!影蜃気楼!」
魔法はイメージだとエーデは言っていた。
身体の中心、まあ心臓あたりを意識してそこから血液が全身を流れるような感覚で魔力を出すイメージをした。
全然魔力とか感じないが問題はイメージのところなのだろう。
「あッ…話は最後まd…。」
エーデが言い切るまでにそれは起きた。
僕の体中から黒い煙幕のような霧が辺りに強引に押し広がった。
そう、それは宇宙の広大無辺な闇のように。
はたまた混沌。
またまた混乱。
そして霧は覆い尽くしたものを徐々に明かしてくる。
黒く染まった服、と言っても元から黒い服なのだから大して変わらなかった。
「ハクくん、話は最後まで聞いてね。この魔法、少し汚れちゃうから。」
「でっ…でも大して変わらな…。」
「おん?」
「シュミマセン…。」
エーデってドスの効いた声で『おん』とか言うんだ…。
僕は小さく縮こまったハムスターのように正座し、彼女の話、もとい説教を聞くのであった。
そうして時間は過ぎていった。
楽しいと感じる時間はやっぱり一瞬のようで、僕は切なく思った。
まあただ魔法のコツを教えてもらったり、少し世間話した程度なのだが。
僕にはこの世界に来るまでこんなことなかったから。
だから、いや言葉にはしないでおこう。
そのほうが儚げだからだ。
「もう日が沈みそうだ。」
気がつけば辺りは暗くなりかけていた。
「今日はここまでだね。」
「うん、次はどんな魔法教えてくれるか楽しみだよ。」
「うん、楽しみにしていてね。」
彼女は笑顔でそう言った。
儚げに。
「ここが分かれ道だね。」
エーデの表情は心做しか少し寂しそうだった。
「そうだね、じゃまた明日!」
「え?」
手を上げてハイタッチを持つように手をかざす。
「ふふっ、うんまたね。」
夕焼けを背後に男女は手を合わせ帰路に着いた。
またねエーデ。
コメント頂けたら励みになります!
エクスプロージョン!!!!!!




