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僕は転移し魔女と出会う  作者: けんT
第1章 ランデブー編
13/21

13話 表裏一体

「好きなところに腰掛けてね。」


本棚に収まりきらなかったであろう書物達が部屋中に無造作に置かれていた。

彼女、エーデは掃除ができないタイプの、もっと言うなら、とてもオブラートに包んだ言い方をするなら、彼女はとても残念であった。

それに僕はこう見えて、軽度ではあるものの、埃アレルギーなのだ。

少しきついと心の隅で思ってしまう。


「?…ハクくん、どうかしたかな。」


「いや、なんでもないよ。」


「ハクくん、きっとその含みのある言い方には何か思うところがあるんだね。私分かるよ、その原因は恐らく私にあると思うの、だから………。」


だから………、彼女はその言葉の先を言おうとしなかった。


「本当になんでもないよ。それより何をしようか?」


僕は素早く話題を変換した。

僕がそんな素振りを無意識にしてしまったことに申し訳ない。

今度来るときにでも掃除しに来ようかな。

善意50%、下心30%、照れ隠し20%の気持ちで。

この家、いや大きさや外見的に目視すれば家寄りの小屋、といった印象。

そこに僕、白々白は遊びに来ていた。

たぶんその認識であっていると思う。


「えーと、何しよっか?」


「あれ?質問を質問で返されてしまった。」


「実のところ何をするかなんて考えてなくて。」


「エーデちゃん⁉それは例えるなら、黄身の入っていない目玉焼きみたいなもんじゃないか!」


「味ほぼないですよね、それ。」


そんな談笑のあと少しの談笑を混ぜ、僕はふと思い出したかのように話の話題を持ちかけた。


「あっそうだ、魔法とか魔術教えられない?」


「えっと魔法は教えられますけど、魔術は無理かもしれません。」


「へー、なんで。」


「魔術って魔法と違って完成されたものを使うイメージですね。それ故に究極無比かつ規格外な威力を持つこともありますが、その使い手のほとんどが才能だとか血筋なんです。だから魔術はたぶんハクくんは使えないと思う。」


「じゃあ!才能あるか確かめられる方法ってあるのかな?」


「では、手に触れてください。」


「ほい、手。」


彼女の手の平を触れる。

とても柔らかく透き通った手だ。


「才能ないですね。」


「バッサリ言ったね!!」


かっこいい必殺技という男子の夢が砕かれた瞬間だった。

なんでも、エーデが言うには、エーデほどの使い手にもなると触れた瞬間魔力の量を大体、直感的に分かるらしいのだが僕の魔力総量は『平均以下』らしいのだ。

この世界に転移させた神様、もとい闇、もっと何かオマケしてくれてもいいのではないか。

これで仮にもショゴスに襲われたときエーデが居なかったら僕の人生が幕を下ろしてしまうじゃありませんか。

僕は悲観した。


「でも、魔法は比較的、習えば誰でも使えるから、そんな気を落とす事もないよ。」


「僕みたいな『平均以下』でもすか!」


「えぇっと、…まあそうだよ。」


僕は歓喜した。

全く持って感情の上がり下がりが激しい単純な男であった。

僕は。

でも少しの間はなんだったんだろう。

そして彼女は魔法に関しての説明というか、解説をしてくれた。


魔法。

どれだけ歴史を遡っても痕跡や文献が全く持って皆無の不可思議な力。

それは基本的にイメージの世界。

魔術が決められたものを辿っていくものなら、魔法は自由に自身が造り、歩んでいくもの。

この2つはまさしく表裏一体。

どこかでこの2つは何かしら繋がっているらしいのだが、今はまだ解明されていないらしい。


「まずは、適正魔法属性を見ないと。それで今後、何を育てればいいか分かるから。」


「属性!炎だとか水だとか風だとか雷だとかなのかな。」


「そうだね、いろいろあるよ、闇とか光などは珍しいね。」


そうなのか。

これでかっこいい属性とかだったらどうしよう。

自惚れが過ぎるだろうが恐らく、いや全然やったことはないのだが、パチンコで一発当てたい気持ちと同等なのだろう。

このなんとも言えない、高揚した気分は。


「では手のひらにまた。」


「ほい、手。」


彼女の平に僕のを置いた。

この言い方だといろいろ語弊が出そうではあるが。


「属性わかった?」


「はい、なるほどたしかに珍しいです。」


「本当⁉なんだろ!」


されど僕はクリスマスのときの燥ぐ子供のように。

されど誕生日のときのケーキを前にした子供のように。

彼女の言葉を待った。


「ハクくんの適正魔法属性は〝影〟です。本当に珍しい、なんというかその、…本当に。」


「ぱっとしない…。」


救世主(メシア)よ。

僕が前世でどんな大罪を犯したかは知りませんが、なんかすごく、どことなく、猛烈にぱっとしないです。


「はは。」


僕はただ苦笑いしかできなかった。

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