開演
緊張が走る荒野。彼らは今か今かと相手の動きをみていた。
__一人の青年が前に出た。その瞬間味方は勝利を確信し、相手は震え上がった。相手にとってその一人が一番の厄災であり敗北する原因だからだ。
2100年、とある人体研究施設にて生物兵器が完成した。この世の理を全て覆す力、それを能力と呼んだ。日本は災害にも核にも負けぬ力を所持してしまった。その力を他のくには恐れた。そこから始まった争いに能力者は強制参加させられた。とはいえ日本もじり貧であり、能力者を一人でもうしなったらきつい状況でもある。そこで、とある能力者に新たな任務が課せられた。
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(はぁ、呼び出しか。)
如月 七音とある人体研究施設にて体を改造された能力者だ。焦げ茶色の髪にオレンジの瞳、元の姿とはかけ離れた姿にいつもどおりため息をこぼす。コンコン
「失礼します。」
彼が部屋にはいるとそこにいるのは最高権力者達だった。彼らの目は青年にとって天地がひっくり返ろうが慣れることのない雰囲気があった。
「如月よ、お前も知っている通り戦況はじり貧である。そうだな?」
「はい。」
「そこで我々は新たに見つかった世界の力を借りようと思う。」
「は?」
青年は理解しかねた。新たな世界など馬鹿げた話を淡々と喋りだす権力者に恐怖した。
(ついに頭までおかしくなったのか?)
「まあ、困惑するのも無理はない。...如月、おまえの能力の源は分かっているな?」
「...新たに見つけた光。」
2100年あの研究施設にて見つかった肉眼では消して見えない謎の光。それを人体と融合したことで人智を越える力を手に入れた。
「そうだ。その発生源をたどった。そして見つけたのだ、新たなる世界を。」
不確定要素ばかりだ。馬鹿げている。
「それでその世界でなにをしろと?」
(まあ、偵察だろうな。)
青年の予想は残念なことに的中した。
「その世界を偵察し我々に協力させよ。」
(協力?恐喝でもしろってか?)
「期限は?」
(まじで1週間程度がいい。知らない土地なんか疲れるからな。)
「そんなもの決まっているだろう。協力関係になるまでだ。」
「...チッ」
(まじか。)
青年は舌打ちをした。無理もない。急に呼び出され新たなる世界を協力関係にして帰ってこいとのことだ。
(無駄な足掻きだけど聞いてみるか。)
「ですが、戦況はすこし危なくなるかと。」
青年はすこしだけ期待したが無駄だった。
「安心しろ能力者がこの前また増えたのだ。」
(...こいつら、俺が少し反発的だから遠ざけたいのか?)
この青年はあまり戦場には出たがらなかった。あたりまえだが、でも彼の能力はすさまじかった。《反転》彼はあらゆるものを反転させることができた。銃で撃たれようが回復する玉になるか相手に向かう玉になるかの二択になる。それゆえ少し反発的でも処分されずにいた。
「はぁ、引き受けました。」
(こうでも言わないと帰してもらえないからな。)
いわば強制的に新たな世界へ行く事になった青年。これはその青年が死してその身が解き放たれるまでの物語である。
初めての作品なので...良ければ今後もみてください!