表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
喫茶で小話集  作者: 愛組
4/31

小話1 喫茶店のマスター4

 予想外のマスターの介入に、兄貴の男は強引に手を振り解く。不満一杯の舌打ちをして、マスターを睨みつける。


「元はと言えば、そこのガキ共が挑発して来たからだろうがっ」


 顎でクイッとマスターの後ろにいる、女子高生達を示す。


「俺は、噂の喫茶店でコーヒーを飲みに来ただけだ。そこを勝手に勘違いして貰っては、困る」


「分かっています、お客様の気持ちを。ですから」


 マスターは女子高生達と向き合うと、にこりと微笑む。


「あなた達は、謝らないといけませんね」


「はあ? おばさん、何を言って」


 マスターの言葉に反発して、女子高生達が言い返す。しかし、マスターから無言の、圧力のある笑顔を向けられ言葉詰まってしまう。それでも気丈に振る舞おうとした時、イスから降りた一人の女子高生が深く頭を下げた。



「勝手な事言って、ごめんなさい」



「「……え?」」


 兄貴の男と背の低い男の意表を突いて、謝罪を口にした少女。ウェーブのかかった長い金髪が、頭を下げた事でサラリと揺れる。すぐ近くにいた他二人の友人は呆然としていた。


「何してんの? ウチらが悪かったじゃん」


「え、でも」


 頭を下げたまま、友人達をみる少女。その目が段々と鋭くなってゆく。


「……言い訳はいいから、早く」


「「は、はい」」


 少女に気圧され、彼女らも頭を下げる。女子高生三人に頭を下げさせた所で、怒りが収まり行き場のないため息をつく兄貴の男。


「ま、まあ俺も大人気なかった。悪い」


「さっすが兄貴、大人な対応」


 背の低い男に煽てられ、居心地悪く視線彷徨わす。



「これで解決、ですね。良かったです」



 事態が何とか収まった事で、マスターはさっさと調理場へと戻っていく。一人だけ浮いた雰囲気を放つマスターに、誰もが思う。





『謎過ぎるぞ、マスター!!』と。

次回は、水曜の19時更新です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ