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喫茶で小話集  作者: 愛組
3/31

小話1 喫茶店のマスター3

 怪しい身なりの男が、怒鳴り声と共に立ち上がったのを見て客達がにわかに騒ぎ出す。矛先である女子高生は、一人を除いて目を見開いて驚く。


「な、何よ!? おっさん!」


「マジ、キモいんだけど」


「なんで、わざわざ挑発すんのアンタら」


 三人三様の言葉。それが余計に勘に触ったのか、兄貴の男は我慢ならず拳を振りかぶった。


「聞いていれば、勝手なことを!」




 だが。




「はい、そこまで」



 そこへ、女性の声が入り込む。


「な、なにしやがる!?」


 気付けば、兄貴の男と女子高生の間に黒髪のマスターが立ち塞がっていた。その手は、振りかぶった拳を楽々と受け止めている。


「女の子に手をあげるなんて、頂けないっしょ……頂けません」


「はあ? イッテぇ」


 笑顔のまま力を込める、マスター。兄貴の男は顔をしかめ、背の低い男はオロオロと視線を彷徨わす。


「ここは、皆さんの憩いの場です。暴力沙汰はお控えを!」



「そう言ってる、マスターはどうなんだ?」と客達が心の内で突っ込んだ。

次回は、月曜の19時更新です。

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