二章 「旅立ち」
キャラクター紹介一 ギン−十八歳の少年。四つの属性を剣に宿らせ闘う。何かありがちっぽいが、結構時間かけて考えた。元ネタは一切無し。魔法道場を作り、アイツを倒すことが目標。
ギンが自分の家に帰宅した頃には、すでに日が沈み始めていた。
木で出来た簡単なつくりの扉をあける。
テーブルの上には大きな一羽のカラスが止まっていた。
「お久しぶりでございやす、ギンさん。」
カラスはいきなり喋り始めた。
「トビマル!修業から帰ってきたんすか!」
ギンは嬉しそうだ。
このカラスの名前はトビマル。グリンの友人(?)で魔力を持っている。
ギンがグリンの家に住みはじめた頃、よく一緒に遊んでいた仲だ。
しかし、ギンが十二歳の時に、一人前のカラスになりたいと言い出し、家を出て行ってしまったのだ。
「あっしも立派なカラスになりやした!ギンさんが間もなく旅立つとグリンさんの手紙で知って帰ってきたんでありやす!」
トビマルは羽を大きく羽ばたかせる。
「つーか、お前はすでにカラスを越えてると思うけど・・・。グリンはまだ帰ってきていないんすか?あと、クルルも。」
クルルは、グリンの使用人の少女だ。年齢は十六歳。
昔、グリンはなかなか偉かったらしく、使用人が何人もいたらしい。
だが、ある事件をきっかけに全ての権力を失ってしまった。
使用人がみんな去っていった後もクルルの母親は以前と変わらず世話をやいてくれた。
クルルの母親が病で死んだ後は、娘であるクルルが使用人になったらしい。
最近では、グリンよりもギンの世話を焼くようになっているが。
「グリンさんとクルルさんなら先程どこかへ出かけやしたぜ。」
「どこ行ったんすかねえ。ちょっと捜してくるっす!」
ギンは家を飛び出した。
すぐに二人は見つかった。商店街で、買い物をしていた。
「ギン様!どうしたんですか?」
クルルがギンに気づき、声をあげる。
両手には買い物袋。
「二人してなんでこんな時間に買い物してるんすか?」
ギンは二人に尋ねる。
二人は黙っている。
「?どうしたんすか?」
「サプライズは失敗ですね、グリン様。」
クルルは少し笑みを浮かべながら言う。
「サプライズ?どういう事っすか?」
ギンは状況が理解出来ていない。
「・・・明日には旅立つのだろう。今夜は盛大にパーティーを行おうと思ってな。本当は黙っておくつもりだったが・・・。」
一度に多くの事を語らず、寡黙な雰囲気を与えてしまいがちだが、本当は優しい。
グリンはそういう男だった。
「今日はトビマル君も帰ってきた事ですし、パーッとやろうと思ったんですよ。」
クルルはそういった。
旅立つ前の最後の夜。
ギンは、クルルもグリンも、そしてトビマルも家族だと思っている。
別れの夜には特別な感情も沸き上がる。
グリンは静かに酒を飲んでいる。クルルは寝ている。
トビマルはすでに酔い潰れてしまっていた。
「・・・お前には、クルルとトビマルを同伴させようと思う。」
グリンはグラスを口につけた後、そう言った。
「え?何でっすか?」
「・・・クルルにも世界を知ってもらいたい。魔法も使えるのだしな。トビマルは色々と役に立つ。本人もお前についていくつもりでここに帰ってきた。」
グリンはそういってまたグラスに口をつけた。
長い沈黙。
グリンと話しているといつもこうなる。
ギンはもう、なれっこだった。
「アイツは、今どこにいるかも分からない。」
グリンの言うアイツとはギンが倒すつもりの相手のことだろう。
「アイツを倒したいと思っているのはお前だけじゃないだろう。たくさんの人々がアイツのせいで傷ついた。」
アイツ。
アイツは突然現れた。
ゼルはまだ幼く、その時は何が起きたのか分からなかった。
ただ、目の前に母さんが倒れていたのを見て涙が止まらなかった。
アイツの姿はよく覚えていない。
ただ大きくて、恐ろしくて・・・。
どうしようもなかった。
「グリン。アイツは何て名前だ?あんた一度も教えてくれなかったろ。!」
ギンは言う。
グリンは言うか言わないか迷っていたが、やがて口を開いた。
「・・・俺がお前にその名を教えなかったのは、お前が恐怖するのではないかと思ったからだ。しかし、お前ももう子供では無い。教えてやろう。」
グリンは息を吸ってからその名を言った。
「アイツの名は破壊神ライ。恐らく、世界最強の生命体だ。」
グリンの手はプルプル震えている。
ギンは悟った。
「あんた、アイツと闘った事があるのか?」
グリンは小さく二回頷いた。
「俺はアイツに手も足も出なかった。俺が今ここに生きていられるのは奇跡に近い。」
ギンはにわかには信じられなかった。
グリンは強い。
魔法で闘って一度も勝てたことが無い。
そのギンがここまで恐怖する存在、それが破壊神ライなのか・・・。
「・・・お前は魔法道場を作り、信頼しあえる仲間を作り、そしていつかアイツを倒せ。お前ならできると信じている。」
グリンはそう言った。
夜が明けて、日が昇る。
天気は快晴、風が少し吹いている。
鳥の鳴き声が聞こえ始めた頃、ギン達は家の外に出た。
「・・・じゃあ、行ってくるよ、グリン。次に会う時にはもっともっと強くなってるっすからね!」
ギンはグリンと別れの握手をかわす。
「・・・クルル、トビマル。ギンを頼むぞ。魔法は強いが、少々心配なのでな。」
クルルとトビマルは会釈する。
「私は母の血を受け継いでおります。この命にかえてもギン様をお守りします。」
と、クルル。
「ギンさんは昔っから危なっかしいからなぁ。もしもの時はあっしが止めるんで大丈夫でやすよ。」
と、トビマル。
この日、二人と一羽は旅だっていった。
目指すは王都ガリア。
無事たどり着き、魔法道場を作ることが出来るのか!?
感想など、ぜひ教えてください! 次回 道中