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相方は温室培養の極


主上に異世界立て直しを命じられ早幾星霜。

ようやく落ち着けて、相方と交流でもしようとしたところ


相方のあまりの赤子っぷりと温室育ちっぷりに目眩がした。




私は100年以上の年月を名のある神の元で修行しつつ御使いとして過ごしていた。日常の世話から始まり気分転換に振り回されもする仕事だったが、やりがいがあった。


それが突然日ノ本の頂点に立つ主上に命じられ異世界勤務となった。それはいい。良いのだが。


共に立て直しを行う相方は恐ろしいほどの温室育ちだった。


「食事は摂らないとダメですよ。数百年抜いたところで神力で生きられますが、食の喜びを失うと生き甲斐のひとつを失いますからね」


痛む頭を堪えてそう聡せば、真白は困り果てたと言った様子で眉を寄せて首を傾げた。

正直その姿はとても愛らしい。真白は綿のようにふわふわで真っ白でとても可愛い。が、警戒心もなく体力も無い。無いどころか飛ばせてもフラフラ、歩かせてもヨロヨロしてるので見てる方の心臓が辛い。


片手で掴めるサイズの木の実を差し出すと、恐る恐るとそれを受け取る。私にとって片手でも真白にとっては両手で持つサイズだった。大きすぎたかと懸念を他所に、真白はコロコロと木の実を両手で転がす。

が、困ったように私と木の実を見比べるだけで一向に口をつけない。


「たべたくないよ」


「美味しいですから、ほら」


隣に座って見本にするようにカリッと木の実をかじる。林檎に似たフルーティで少々の酸味がある。それでも、なんど見せても真白は困り果ててた首を振るだけだった。


そこでふと思う。私は雑食だけれど、虫はそうもいかない。もしかしたら真白が食べられるものは限定的なのかもしれない。


「もしかして特定の種類しか食べられないのですか?」


「だから、せいちゅうはなにもたべないの。ほんとうならくちもつかわないの」


「またまた、食べなければ生きられないじゃないですか」


「うん。だからおとなになったらこうびして、たまごをうんでしぬだけだよ」


「……本当に?」


「ほんとう」


それはそれは……それは。

本当に食べられないのならばどうすればいいのか。失う一方ならば神力はいずれ失われる。

けれど本当に食事を摂らないのならば消化器官があるのかもあやしい。下手に口に入れることも躊躇われるし、拒む彼女の気持ちもわかった。


「うーん、どうしましょうか」


白い頬を撫でていると、甘えるように擦り寄ってくる。

そのまま隣にピッタリとくっついてくる。

ーーーーすると、触れ合った箇所が鈍く痺れる感覚を感じた。


ん?と思い神力を確認すると、私の神力は真白に極極極少量だが流れていっていた。


「あったかい」


本人は気づいてないようだが、私から神力を吸っている。

おそらく神界では空気から神気をとっていたのだろう。

とりあえず、まあ吸われてるけど心配は無くなったのでそのまま寄り添って真白に神気を分け与える。





真白は派手な術が使える割に、神力の補充効率がとんでもなく悪い。食べ物を食べないせいもあってか、まず体内に回復器官が見当たらない。

色々と確認したところ私以外に引っ付いて神力の補充は出来ないようなので、今は朝も昼も真白を引っ付かせているが…本性であるならともかく、人型同士では正直邪魔くさい。



そこまで思ってふと思った。


「真白の本性ってどんなんなんだ?」


蚕なのは知っているけれど、名前と蛾の一種で絹糸の元ということくらいしか知らない。あと真白に出会ってから野生では一切生きられない家畜昆虫だということを知ったくらいだ。

真白はんー、と首を傾げてから私の手を握った。


にぎにぎと手を握って……ポンッという小気味のいい音とともに掌の上には白い塊が乗った。


まず思ったこと。

小さい。掌サイズ所ではない。数センチサイズだ。

軽く重みもない…と思った瞬間吹いた風。


『あ』


「っ!!真白っ!!」


ふわりと飛んだ。飛んだといっても羽をはためかせてでは無く、風に飛ばされただけだ。慌てて手を伸ばすも掴んだら潰れる。

どうすればいいのかと慌てて判断が遅くなり……地面にスライディングをして出した掌の上に真白が落ちるように調整した。


心臓が誇張でなくバクバク言っている。

あ、危ないところだった。


『びっくりした』


「全くだ。しかし…つまむにも怖いんだが…」


地面に座り込んでまじまじと蚕姿の真白を見る。

白くて、綿をまとったようにもふもふしていて、ふわふわの触覚と白い羽根。あと、比較的大きな胴体にちまちました脚。


羽を持てば羽は崩れてしまいそうだし、胴体は簡単に潰れそうだして触るのが怖い。


『そういえばわたし、ほんしょうでおくがいってはじめてだ』


怖々と掌の真白を見る。この姿なら共に在りやすいかもしれないが…いつ潰すかと全力でひやひやするからそれは無しだ。



『あ』


「ましろおおおっっ」



と思った瞬間、真白はまた宙を舞った。

実話と創作が混ざっておりますので御注意ください。

なお真白本性は風が全くない状態でほんの僅かに飛べる程度の実力です

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