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【時の部屋:終末時計】時の女神

【時の部屋:終末時計】時の女神


時神として、死を恐れず悠久の時を生きる事程、退屈なことは無い。

千年万年、時間が過ぎようと、この時の部屋では何も変わらない。

終末時計の針が時を刻むだけだ。

そんな退屈な時の部屋に初めて歴史を書き換えようとする者が現れた。

やって来たのは日傘を差した死神マスターと、その従者だ。

彼らは早速、時の部屋に変化をもたらした。

生きる事に倦(う)み疲れていた仙人の徐市が、自ら死を選んだ。

時鳥が従者の男に興味を持ち、彼の辿った物語を書き始めた。

この者達は私にどんな変化をもたらしてくれるのだろうか?


人(ひと)種が絶滅の危機にあるという。

数多(あまた)の種が絶滅した様に、それは必然であるにも拘わらず、彼らは、運命は変えられると信じて疑わない。だから退屈まぎれに、なぞなぞクイズを出し少し意地悪をしてみようと思った。

問題には人類の運命が掛かっている。

能天気そうに見える獣人は、その事が分かっているのだろうか・・・?


「さあ、問題は3問よ、一問目、

一トンの鉄と一トンの綿はどちらが重たい?」


「はい」


「獣人さん、早いわね」


「鉄です」


「ちょっと待って」


「う~ん、訂正は無しだけれど、最初の問題だから、まあいいわ。はい、カトリーヌさん」


「同じです」


「アハハ、そうよ、最初から引っ掛け問題に間違うのかと思ったわ」


「じゃ、二問目ね・・・これは少し難しいよ!できるかな?

9枚の金貨があります。その内、一枚の金貨はニセモノです。

天秤(てんびん)ハカリには一度に9枚載せる事が出来ますが、2回しか使えません。

さて、どうやってニセモノを見つけたらいいでしょうか?

では、カトリーヌこれは分かる?」


「・・・・・」


「あはは、カトリーヌ、あなた意外と、お馬鹿さんね、こんな問題もわからないの・・・」


「三枚ずつハカリに掛ければ分かるのでは?」


「ピンポーン、凛太朗さん、あなたなかなかやるじゃない」


「タイガーさん、ウフフ、未だ正解はありませんね・・・

それじゃ最後の問題、手元にレベルが1~5の5つの問題があるわ、難しいのを選ぶか、やさしいのを選ぶかは、あなた達の運次第よ!

因みにさっきの2問目はレベル2、3以上は問題をこなしていないと難しいかも」

女神は、そう言うと折り畳んだ問題用紙をトランプのババ抜きの要領で掌に5枚持ち、問題を並べた。


「さあ、どれを選ぶ?」


「俺に選ばせてくれないか・・・」


凛太朗は問題を選ぼうとしていたカトリーヌを手で制し前に進み出た。

彼女は凛太朗が運の女神の加護を受けている事を知っていたので、分かったと言わんばかりに無言で頷き引き下がった。

凛太朗は人類の終焉になるかも知れない事の重大さを充分理解しているので、たかがクイズの問題だと侮ることなく運の女神の力を最大限に使う事にした。

『女神よ!幸運を与えたまえ・・・LP(ラッキーポイント)最大MAX 無限大』凛太朗は時の女神に力を使った事を悟られない様に運の力を制御しオーラを身に纏った。


問題の紙を取ろうとすると、その内の一枚を女神は故意に突き出した。

女神から神経戦をトランプのババ抜きの様に仕掛けられたのだ。

そこで、いったん手を止め凛太朗は考えを巡らせた。

『何故、女神は一枚、問題の紙を突き出したのか?

この突き出した一枚を引かすためなのか? 

いや違う。この場合、突き出した問題の左右どちらかを引くように仕向けているのかも知れない。左右の問題の紙は要注意だ』


突き出した一枚触り女神の顔を見る。表情筋に少し変化があった。

左右の紙も持ち直して顔の表情を探る。

女神は俺達に難しい問題に答えさせたいと思っていると考えるべきだ。

突き出している問題の紙が、一番引きづらい。

何かある。難しい問題か、やさしい問題かどちらかだろう。

数回引けば女神の手の内が分かるが、そうはいかない。だからここは勝負しかない。

凛太朗は女神が引けとばかりに突き出している問題の紙を敢えて運の力に委ねて引く事にした。


「あら、あなた達、運の女神に愛されてるわ・・・レベル1の問題よ!

よかったわ。もう貴方達、問題を解いたも同然ね・・・。

そうだわ、最後の問題を出す前にレベル3は、ちなみに、どんな内容だったか教えてあげる。

問題は、ある国の王様の前にABCDの4人の盗賊が判決を受けるために鎖に繋がれ引っ立てられました。そこでの判決は、もし、今から出すクイズに答えられたら釈放してやる。

その代わり間違えば死刑だ。というものだったので、盗賊達は必死です。


ルールはこうです。

階段の上に盗賊を上からABCと三人段違いに立たせました。

Dの盗賊は階段の下に衝立で隔てられ、三人と向かい合う様に立たされました。

全員に帽子を被せましたが、二人は赤、二人は黒です。

自分の被っている帽子を言い当てる事が出来るのは誰ですか?

条件として、盗賊は自分の前にいる人の帽子を見る事が出来ますが、後ろにいる人を見る事はできません。一番上にいる盗賊は前のBCの帽子の色が見えますが、壁の向こう側を見えません。誰か答えが分かりましたか?

タイガーさんは未だ正解はありませんね。分かりますか?

う~ん。少しあなたには難しいかも知れませんね・・・。

じゃ、答えを教えましょう。

CとDの盗賊は無理なのは分かりますね。有利なのはAの盗賊ですが、前にいるBとCが同じ色だったら直ぐ答えられますが、違う色だったので、答える事ができません。

Bの盗賊はAが答えないので、Cの帽子と自分の色が違うのが分かります。

だからCの色違いが自分の帽子だと分かるのです。だから正解はBです。

レベル3の問題は少し難しいですね・・・。


それではレベル1の運命の問題を出します。

これは簡単、タイガーさん、サービス問題です。

これなら分かるでしょう。直ぐ答えて下さいね。

2階の部屋から鉄1kgと圧縮した綿1kgを落としました。

さて、どちらが先に地面に落ちるでしょうか?」


「はい。タイガーさん」


「同時に落ちます」


「ブブー」


「まって」


「まった」


「カトリーヌ、凛太朗さん最後の問題は訂正はなしです」


「あはは、タイガーさん、まんまと、私に乗せられて、引っ掛かりましたね。

あなたなら引っ掛かってくれると思ってました。

答えはどちらとも言えないが正解です。鉄の形状や空気抵抗によって違いがあるからです。

では、約束です。

本当は凛太朗さんが欲しかったのですが、ネズミ車を回すのは丈夫そうなタイガーさんにピッタリかもです」

この瞬間、終末時計のネズミ車から魔物が用済みとばかりに放り出された。

変わって、時計台の蔦(つた)が伸びて来て、タイガーを絡み取りネズミ車の中に引き摺り込んだ。

途端にネズミ車は勢い良く回転を始める。


「姉御、助けて・・・」日頃泣き言を言わないタイガーだが、泣きべそをかきそうな顔になっている。


「ハハハ、自業自得かも、あなたは体を鍛える前に、おつむをどうにかすべきね。

そのネズミ車に取り込まれると本人の意思は関係なく足が動き続ける。

ここでは死ぬ事がないから、エナジーが枯れるまで千年万年も回し続ける事になるわ。

カトリーヌ、助けたければ代わりになる丈夫な魔物でも捕まえて連れてくる事ね。

そうだ、あなた達が、折角ここまで来て可哀想だから終末時計の針を一目盛りだけ戻してあげる。これはどういう事だか分かる?

残り、だから、あと二目盛りだけど、この時計は時を刻んでいる訳でないから、異次元からの脅威を排除する充分な時間ある。

でも、鍵になる重要人物、たとえば創造主様とか貴方達、キーになる者が、異次元の魔物達に倒されたら、針が一気に進み世界は終焉を迎える事なる。だから注意する事ね‼

カトリーヌ、タイガーさんを助けに来た時は危機を脱した時でしょうから、昔の様にお茶と美味しい焼菓子でも容易するわ。じゃ、いい匂いがするイケメンのお兄さんも頑張ってね・・・」


カトリーヌは苦虫をかみ潰したような顔になったが、凛太朗と元の次元に戻った。

そこには無惨にも廃墟となった東京の街があった。


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