【女子高生:円城寺五月、創造主をやってます】
【女子高生:円城寺五月、創造主をやってます】
凛太朗は失敗すれば後が無い状況に追い込まれながら命を掛けて引き金を引いた。
剣闘士や鎧武者の魂を喰らい精神エネルギーを充填した幻想砲は最大POWERのエネルギー弾を形成し流刑地の上空に輝く太陽を打ち抜いた。
エネルギー弾が弧を描き飛んで行った先には、この星を一時的な暴走モードする事で超新星状態をつくり流刑星にハイパワー熱線を照射させるコントロールタワーがあった。言わば急所にあたる場所だ。
太陽に人工物がある事など思いもしない凛太朗が、目標物をピンポイントで破壊する事は至難の業だろう。
それを可能にしたのが無限大に強化した運の力だ。
エネルギー弾は見事にコントロールタワーを破壊した。それにより流刑星は動きを止め灼熱地獄になる事は避けられたが、凛太朗は神魔晶石のブレスレットの鎖を引き千切り運のパワーを無限大にして幻想砲の引き金を引いた。もし、運の力がなければ誰も助からなかった事は明らかである。
この時、全宇宙でちょっとした不運な出来事や大小の惨事が起こったことを忘れてはならないが、もちろん凛太朗はその事を知らなかった。
この後、一度、死を覚悟した罪人達はフロンティア(frontier:新天地)を得て、やり直しの機会を得た。
彼らは小さいながらもコミュニティを形成し生き長らえる事になる。
凛太朗が活路を見出すために足掻くのを嘲笑う者もいたが、奇跡が起こり太陽が動きを止めると流刑者達に救世主扱いをされた。だが、それも束の間、まもなく三人共は暗闇が支配するギガ国に引き戻された。
そこには頭を打ち抜かれた状態で悪魔が倒れて事切れていた。
悪魔はこの後、地獄の再生の風が吹けば多分、ゾンビとして暗闇の世界を徘徊することになるだろう。
それは例え悪魔であっても、閻魔の力が支配するこの地で死んだ限りは例外はないに違いない。
そして、運がなければ何時かは鬼達に地獄に連れて行かれる運命が待っている筈だ。
暗闇の世界で時間感覚が麻痺し長い時間を悪魔の作った異次元に拘束されていた様に思ったが、凛太朗達が倒した木偶人形やゾンビ、それにスケルトンも未だバラバラになったままで、道端に放置された状態になっていた。
もしかした凛太朗達は違った時間軸にいたのかも知れない。
そう考えなけれな偶人形やゾンビ、スケルトンは今まさに倒されたかの様で不自然だが、この黄泉の国、地獄の辺境の地では死体の腐敗は遅いのかも知れない。
死体を片付けないのは多分、住人のすべてが死者の黄泉の世界ならではの事だろう。
この時も通りすがり旅人は無関心で気にも留めず足早に去って行った。
凛太朗には悪魔の手の内に誘い込まれながらも死の淵から戻れたという安堵感があった。
しかし、運に強力に守護され鉄砲の玉や矢も不思議と避け、怪我を負う事はなかったが、返り血を浴び心身ともに疲れは限界に近かった。
タイガーやチェリーに至っては、あちらこちらに鉄砲や矢、それに刀傷を受けて血糊で真っ赤になっていた。
この血糊がべっとり付いた姿では何処も一夜の宿を貸してくれるところは恐らくないだろう。
それ以前に、もう何処に行く元気も無かったので、兎に角、この場で休む事にして、座り込んだ矢先だった。
大鎌を持ち黒いローブを着たドクロ顔の死神が、何の前触れもなく三人の目の前に姿を現した。
凛太朗達を見るとニッコリ笑って、仕事モードの死神姿から暗闇なのに日傘を手に持ったゴスロリファッションの死神娘に姿を変えた。
「凛太朗、心配したわ、気配が突然、消えたから探していたのよ!
タイガー、あなたが付いていて、危ない目に合わしたんじゃないわよね・・・。」
「姉御、すまん。まさか、地獄に近い、この冥界の辺境の地に悪魔が潜んでいる何て思わなかったんだ」
「そうなの?ここでは魔族がいること自体が珍しいのに悪魔がいたの、それは僕も迂闊だったわ」
「そこに倒れているのが、その悪魔だ。
カトリーヌ、すまん。悪魔を倒すため、女神から貰った神魔晶石のブレスレットの鎖を切って、運の力をMAX迄、使ってしまった。もしかしたら女神からお咎めがあるかも知れない」
「いいえ、悪魔を倒しただけでも上出来だわ・・・。
それにブレスレットの事は凛太朗、大丈夫、ブレスレットはちゃんと貴方の首に吊り下がっているじゃない。」
「え!」
凛太朗はカトレーヌから、そう言われて初めて引き千切った筈のブレスレットが再び首から吊り下がっている事に気が付いた。
「そのブレスレットが無ければ無限大の運を自由に使える様になる。
それでは運の女神様も困るから、制約の箍を強制的に外した時には自動的に修復元に戻す様にしてある。
相手は上位神よ!抜け目が無いわ・・・。」
カトレーヌが、やって来て凛太朗達と話をしている時、突然、神々しい光が空中に現れて、辺り一帯を照らした。
大きな光の玉が、バラバラになった木偶人形やスケルトンが散乱する道端の空き地にゆっくりと降りて来た。
新たな敵なのかと一瞬、身構えたが、球体の光は、人に暖かく、やすらぎを与えるものだった。
光の中から現れたのは全身に光を纏った二人の女性だった。
若い少女は清純な印象を与えるセーラー服を着ていた。
中年の油ぎった剥げ親父達に好かれそうな乙女である。
もう一人は男を虜にする美貌と素晴らしいプロポーション、それに透き通る様な肌を合わせ持っていたが、さらに胸の谷間が見れるドレスが彼女の妖艶さを際立たしていた。
凛太朗は年長と思われる美貌の女性が、女子高生を連れているのかと最初は思ったが、美貌の女性が女子高生に従う様に一歩下がって近寄って来たので、二人は関係は上司と部下、或いは主従関係にあるのかと思い直した。
先に話し掛けて来たのは女子高生だった。
「カトレーヌご苦労様、地獄の閻魔大王との話をどうだった。」
「最近、地獄行の亡者も高齢者が増えたんで、地獄の責め苦もやりにくくてしょうがないなんて言っていたわ・・・。
シゴキにされるままに身を任せる高齢の亡者は面白くないから、鬼に歯向かう生きのいい若い亡者をもっと送って欲しい。なんて勝手な事を言っていたわ」
「うふふ、閻魔大王らしいわ・・・」
「あ、えーと、あなたが今度、抗魔執行官になった結城凛太朗君ね。
今は執行官になるために経験値を積む教育プログラムをこなして貰っているとカトレーヌから報告を受けているけど、なかなかオフィスに帰ってこないから心配になって様子を見にきたの・・・。
未だ、見習い期間だけど、抗魔官としての適格者が少なく人手が足りないから悪魔のメンタルアタックに対抗できる能力が身に付いたら、直ぐにでも抗魔執行官として、第一線に出て貰うから覚悟して置いて・・・」
「ねえ、タイガーさん、この人達はどなたなの?」チェリーが聞いた。
「大姉御さ・・・」
「あ、そうだ、未だ自己紹介をしていなかったわね。
私は対悪魔対策の室長をしている円城寺五月よ!
それから円城寺証券の社長と、もう一つ、裏の仕事『全宇宙の創造主』もやってるわ・・・」




