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素晴らしきかな、我等が高校生活。  作者: 鈴木のメモ帳さん
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ルール

 一人で校内を散策しつつ目的の教室を探すも頭の中は様々な思考が迷走していた。

その主たる部分はルールについてだ。班内での会話は禁止、しかしその他との会話は可能、というのはどうもルールとしておかしい。班外の誰かを介していれば班内での意思伝達も容易で、宝探しというゲーム自体の難易度を上げるようなルールではない。ではなぜ、わざわざ班内の会話を制限したのか。

そしてその違反者に対する措置、バッチを付けているものは今まで校内を散策する中でも存在した。その者たちはゲームから外されるというより単にバッチを付けられただけでゲームには進んで取り組んでいるようにも見えた。一回の違反でバッチはつけられているからそれ以降の班内での会話は可能になり、回りくどい仲介人も必要なくなり、多少はゲームの進行が楽になるが、それはおかしいのではないか。ルールを違反したものがゲームの進行が少しでも円滑になるなら、違反しろと言っているようなものだ。現にバッチを付けられる生徒は最初に比べて増えている。この状況下でルールの存在を納得できる材料はない。


 一人で考えにふけりながらも校内を歩き回るとついに家庭科室を見つけた。中に入り部屋の中を見渡すと何人かの生徒が中を物色しているようだった。自分の班のものがいないことを確認してから先に部屋を物色していた者たちにまちばりはあったか、と尋ねると奥の引き出しに入っていたと聞き、何の障害もなくそれを手に入れた。あとは残りのメンバーを探して体育館へと戻ればいいと考え、わざわざ探し回るのもばからしく思い、家庭科室で待つことにした。


 しばらく待つと川と種が一緒に歩いてきたが二人にバッチはなく、会話していないことはわかった。

こちらに気づいた二人にまちばりを見せると、自分が待っていたのだと気づいて三人で草を待つことになった。さらに少したってから、廊下の先から草が城山と歩いてくるのが見え、まだ一緒にいたのかと半分呆れていると、城山の変化に気づいた。城山にバッチが付いている。こちらに気づき声をかける城山にバッチを指さし、首をかしげてみせると城山は初めて声をかけてきた時のままの笑顔で答えた。

「あぁ、草原さんと話してたら気が緩んで班のメンバーにも普通に話しちゃったんだよね。まぁバッチはついたけど別にペナルティあるわけじゃないみたいだし、気にせず話せるからむしろ清々したよ」

明るく話す城山の答えを聞いて、草のほうを見ると自分はそんなことしないぞ、と言いたげな顔で胸を張って見せた。本人も気にしていないようだし自分も気にせずまちばりを見せ、体育館に向かうと城山に伝えると、城山は自分の班のを探してくる、と行ってしまった。


 体育館に到着し、係の先生に紙とまちばりを手渡すと、終了時間まで適当に過ごしていてくれ、と告げられた。一応、もう班内での会話はしてもいいのか聞くと、構わない、とのことだった。

適当にあいてる場所に四人で固まって座ると、川が口を開いた。

「ふぅ、なんか息苦しかったね、一人で探してた時のほうが断然楽だった」

ゲームが終わり安堵した表情で話す川に草も、城山と話す時よりも快活に話していた。

自分が周りを見渡し、ほかの生徒を確認していると種が話しかけてきた。

「バッチつけてる人いないわね、途中でリタイアとかなのかしら?」

「そんなはずないだろ。城山も言ってた通りバッチを付けてるやつが途中で退場、なんてペナルティはなかった。おそらく宝を見つけてここに帰ったら回収されるんだろ。本当に何のためのルールなのかわからん」

自分が不満そうに話すと種はただ単にルールとか制限があったほうが楽しくできるからじゃないの? ともっともらしい理由を返してきた。確かにただのレクリエーションに大した理由がないなんて当たり前かもな、と考え昼食の時間までくだらない話で四人で盛り上がった。

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