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異世界ローゼン

プロローグが長すぎた為、今回は少し短め

 ホワイトアウトした視界に嫌気が差し始めた頃、脳の伝令を受け、視覚が戻ってくる。

 そんな中、ソーマは違和感を感じた。何故なら俺は……俺達は、教室ではなく見慣れない所に居たからだ。



 辺りを見てみると、クラスメイトだけでなく他のクラスの生徒もいる様で、誰もが激しく動揺していた。

 それも無理もない反応だろう。何せソーマ達は、つい先ほどまで教室にて昼休憩を満喫していたのだから。

 地面は大理石みたいなモノで出来ていて、壁や、窓を見るからに教会のソレに似ていた。



 コツン……コツン……



 不意に誰かの足音が聞こえた。誰もが困惑する中、教会?の入り口から、1人の女性が入ってきた。



 誰もが動揺する中、ソーマは冷静ではないが、状況把握に努めようとする。

 ソーマ達の前に現れた女性は、金色の髪をなびかせており、修道服を着ている事から、今ソーマ達の現状を引き起こした張本人か、関係者と推測した。

 周りを見ると、大半の男子がその女性に見とれていた。

彼氏持ちの女子は見とれている彼氏に制裁を下していて、見てる側からすれば「ざまぁww」と言ってしまいたい位に清々する。



 だが、まぁ無理もない。何故ならその女性は、とんでもなく綺麗な人だったからだ。思わずソーマも見とれそうになったが、現状把握を優先して、あくまで冷静で居た。――正確には冷静を装ったのだが――

 修道女はおもむろに、何かを呟き始めた。ソーマは立ち位置的な問題で、断片しか聞こえなかったが、最後だけははっきりと聞き取ることができた。



 「主よ……我が……感謝いたします……この世界の秩序と安寧の為に」



 お祈りでもしているのだろうか?そう思った俺は、ここに来るまで近くに居た月村さんと芳乃さんを探そうとこの場を動こうとした刹那、修道女が先に動いた。



 「我々が寵愛の神に呼ばれし神徒様……よく来て下さいました。私は神の忠実なる信徒、ユリーナと申します。色々と質問はあるかもしれませんがまずは、この私のお話を聞いては頂けませんでしょうか?」



 透き通った声が、教会?の中で響き渡り、誰もが静まる。

 ユリーナから説明を聞き、取りあえずだが今現在で自分達に起こってる事を把握することが出来た。



自分1人で納得しただけではどうにもならないのだが、ソーマは再び月村さん達を探すことに意識を集中させた。

よく目を凝らして見ると、教会?の壁画の下で月村さんと芳乃さんは何やら2人で話をしていた。

今後の事でも考えているのかもしれない……取り敢えず、安否の確認が出来て内心ほっとする。



 ソーマの理解の範囲はとっくに超えてるが、自身の心もとない語彙力でこの世界についてユリーナが説明したことを要約することに成功した。



 簡潔に言うとこうだ。



 ここは、異世界で名をローゼンと言う。そして、この世界の人種は大きく分けて4つの種族が存在する。人族、魔族、亜人族、神族らしい。人族は東1帯、魔族は西1帯を領地として支配しており、神族は不明、亜人族は南から北の方面で目立たないように過ごしているようだ。

 魔族とはやはりと言うか戦争をしており、ここ最近魔族の勢いが激しいと言う。それを知った人族が信仰する唯一神〈ゼヘラ〉は、助っ人として俺達を召喚したようだ。

 正直、迷惑な話である。要するに彼女はこう言ってるのである。



 「これから戦争をするので力を貸してください」と。



 一部の人は理解したのかざわめき始めた時、ユリーナの前に1人の女性が人ごみを分けて出て来る。

生徒一同、神崎先生が前に出てきた事に驚きを隠せないでいた。



 「あの厨二ティーチャーが前に出てくる……だと」



 「何かカッコイイかも……はっ!? 私何を言ってるのよ……」



 等と、先生を見直した発言が辺りからチラホラ聞こえてきた。



 「一つ聞いていいかな?ユリーナさん?でしたっけ。なに、大した質問じゃないので……」



 そこまで言った先生は女性とは思えない目で続きを言った。



 「貴方方はうちの生徒達を捨て駒にするつもりですか?」



 ソーマは確信した。あの厨二病で痛いうちの担任は現在かなりキレている。しかも、ソーマが見る範囲では初めてだった。

恐らく他の生徒も見たことが無かったのであろう……皆の表情は唖然としている。

 しかし、先生の怒りはある意味無駄となってしまう。 

 ユリーナは、とんでもないとばかりに言った。



 「滅相もございません。皆様は我が主が召喚せし神徒。言い忘れていましたが、皆様方にはゼヘラ様の加護が付与されております。故に、皆様は前居た世界の何倍もの力があるはずです」




 その言葉に皆がどよめく。既に現実離れをしているこの状況なのだが、地球に居た時より強いと言われると流石に皆は半信半疑になっている。

 ソーマは自分の中に、僅かながらの期待があるような気がした。何せ異世界召喚にしかも世界を救うと言うテンプレ中のテンプレな状況を現在進行形で体験しているのだ。しかも、召喚されたソーマ達にはどれ程かは見当はつかないにせよ、何かしらのステータス補正がかかっている。期待をしないはずがない。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~



 意外な返答を受けた神埼先生は、どう返せば良いのやらと言葉に悩んでる様に見える。



 (参ったな……こんな非現実的な状況が現在進行で起きてるせいで、まともな判断が出来そうにないな……)



 正直な話、彼女はこの状況を非難してはいるがその反面、かなり歓喜していた。



 (いや、だって異世界召喚だよ!? まさにこの状況とかテンプレだよ!? それって私TUEEEEEな奴じゃないか!?)



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~



 そんな様子を痛いほど見ていたソーマは先生の表情から察した。



 周りの生徒達は皆諦めた様な表情を浮かべ、「やっぱり先生だった……」と言わんばかりの哀れみの表情を浮かべている。



 (誰かあの痛い先生を止めてあげて……てか、めっちゃ歓喜してるよあの人!?)



 心の叫びを発しつつ半ば諦めたようにソーマは、ユリーナに質問を投げかけた。



 「あのー……質問良いですか?」



 「私に答えれる範囲ならば、何なりとお答え致しましょう」



 ふわりとした表情を浮かべたままユリーナは言った。

 それと同時に、周りからの視線が一気に集中した。無理もない。何せあんまり目立った行動を起こさない俺が主体的に動いたのだから。 

 質問許可が出たのでソーマは、周りの視線をスルースキルを駆使して質問した。



 「大体の把握は出来ました。でも仮に、俺達は強いとしてその証明は出来るんですか? そして何より、元より俺達は学生です。いきなり殺しなんて出来るとお思いですか? 戦う為には……訓練や実践が無いと……いやそれでも無理な人が居るかも……いや、居るはずです。貴女達の本当の目的は知る由もないですが、勿論何かしらのサポートはあると思って良いんですね?」



 (何か……言い過ぎたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)



 ソーマは1人心の中で発狂してると、ユリーナが微笑みを浮かべたまま答えた。



「勿論です。訓練や実践は勿論のこと、衣食住に関しても我々が保障いたします。そして強さの証明ですが、その質問には直ぐにお答え致しましょう」



 ユリーナはパチンとフィンガースナップを決めた。すると同時に、1人1人の目の前に手帳が落ちてきた。

 手にとって見てみると、重さは大体生徒手帳と同じ位で、携帯可能なアイテムなのだろう。

 ユリーナは、皆が手に取るのを確認すると何かを唱え始めた。



 「主に代わり、私が。”その書に記せ”、神の御心のままに」



 光と共に、手帳に文字が記され始めた。周囲の人のどよめきが聞こえ、ソーマから見たその表情からは不安と期待の表情が目に見えて分かる。



ソーマはユリーナという人間を見て、彼女の表情や態度から妙に胡散臭さが感じられた。念のため、ユリーナの動きに少し警戒するようにした。







修道女は美人。これだけは譲れないね(キリッ)

神崎先生はやっぱり痛い人じゃないとね……

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