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カワイイ男の子が聖女になったらまずはお尻を守りましょう  作者: 吉見アキラ
第三章 大トレジャーハンターの貴公子 クリス
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第七十八話 黒幕登場?


「ジルベルト様?」


 僕の声にクリスが我に返った。ただ、他のみんなは緊張感を漲らせている。


「ジル兄様、なんでここに?」


 クリスが近寄ろうとするのをジークが止めた。

 その行為の意味がわからず、クリスがキョトンとしている。


「なんでこの場にジルベルト様がいるのですか?」


 リーナが厳しい視線を向けながら質問する。

 ジルベルトの他に騎士が三人ほど彼の背後に控えていた。

 纏う気配からかなりの手練れだろう。

 

 五対四。

 数の上では有利だが、相手は全員前衛だ。

 近接戦闘では役に立たない僕やリーナは足手まといかもしれない。

 それにクリスの戦闘の実力は未知数だ。

 ライルが盾を構えたまま僕達の前に出てくる。


「驚かせて悪かったね。わたしは君たちだけでは不安でここまでついてきたんだ」


「クリスの探知の圏外からそっとですか?」


 ジークの言葉には警戒心がまみれている。


「ちょっと、みんな。何を疑っているんだ! 僕の兄様だぞ。それに公爵家の一員なんだから」


「クリスは黙ってて」


 リーナの強い口調にクリスが怯む。

 その間にジークが


「何か言い訳があるなら、答えて欲しいのですが」


 まだ、口調は丁寧だが敵対心は明らかだった。

 僕はジーク達の反応に戸惑いつつも黙っている。

 その時、ふとジルベルトは笑った。


「じゃあ、はっきり言わせてもらう。正室の息子とは言え出来損ないとどこの馬の骨ともわからない奴らに公爵家の重大事を任せることなんて出来ない。それなのに兄様は――」


 忌々し気に歯軋りする、ジルベルト。

 そんな彼の言葉にクリスは俯いてしまった。


「で、あなたの本当の目的は?」


「ジーク?」


 クリスが驚きながらジークに振り返る。

 ジークは探るような視線をジルベルトに向けていた。


「なるほど、君たちは今回の件の黒幕が僕なんじゃないかと疑っているんだね」


 流石は公爵家の次男と言うべきか察しは良いようだ。

 そんな僕達を侮蔑するように地面に唾を吐き捨てる。


「やはり、育ちと言う物はあるのだな。庶民は何もわかっていない。わたしは公爵家の一員だぞ。我が家の使命を蔑ろにするわけないだろう!」


 顔を歪めて激昂する、ジルベルト。

 その眼に嘘はないように見える。

 その勢いに僕は気圧されていた。


 だが、ジークは全く気にせずジルベルトをさらに追い詰める。


「ではなんで、アルフォード様の命に逆らうのですか? 今回の件はクリスとわたし達が任されたことです」


「そのお前たちが信用おけないから我々が来たんだ。ここまでの案内はご苦労だった。あとはオレ達に任せて帰れ」


「オレ達を帰して何をするつもりですか? アルフォード様の命は封印の確認。もう任務は終わりました。これ以上、ここに留まる理由はないでしょう」


「何を言うかそんな禍々しい物をこのまま放置できるわけがないだろう」


 ジルベルトの目が怪しく光る。


「そうです。危険な邪神の剣はちゃんと封印しませんと」


 突然、知らない男の声が響いた。

 いつの間にかジルベルトの後ろに魔導士風の男が立っている。

 その登場にクリスもみんなも驚いていた。


 全く気配を感じられなかった。

 まるで闇から湧いてきたような黒いローブの魔導師。

 フードを深く被っているので顔はわからない。

 声から言って男のようだが……。


 それにしてもここの雰囲気がそう思わせるのか、怪しすぎる存在だ。


「兄様。その人は?」


 流石のクリスもここにいたって警戒心を上げる。


「お前はあまり帰ってこないから知らないか。我が公爵軍の魔導師だ。いまは我が隊の参謀的なことを任せている。そんなことはどうでも良い。ヤザン。お前ならあの邪神の剣を封印できるのだな」


「お任せください」


 フードの奥で口許が笑っているのがちらりと見えた。


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