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第四十五話 子トラの名前を考えよう

今年初めての投稿です。

遅くなりましたがあけましておめでとうございます。


「どんな名前がいいかしら」


「やっぱりカッコイイ名前が良いんじゃないか?」


「あんまり突飛なものにすると後々苦労するぞ」


 僕のことなど無視して三人はノリノリで名前を考え始めている。

 唯一の救いはライルが真面なことを言ってくれそうな事だろうか。

 ここは大人の良識を信じてみよう。


「で、どうするの?」


「えっ、僕がつけるの?」


「当然でしょ。マルコが主なんだから」


 そう言われて僕は子トラをジッと見る。

 そして、ウンウン唸ること数分。


「シロなんてどう?」


「そのまんまじゃない」


「もう少しひねらないか?」


 僕はシンプルでいいと思うんだけど……


「じゃあ、タマ!」


「猫じゃないんだから」


「ええ。某有名執事物語で大金持ちのお嬢様が飼ってた白いトラはタマって名前だったよ」


「そう言うツッコミ辛いことは言うなよ」


 ジークが渋い顔をしていたのでこの名前は取り下げる。


「じゃあ、ちび」


「いまでもあんまり小さくないし。この子、かなり大きくなるわよ」


「う~んとトラ!」


「虎にトラって名づけるのはどうなの?」


「これで最後だ。ミケ!」


「真っ白なのにミケはないだろう?」


「マルコ。さっきから猫の名前ばかりよね。この子、見た目はこんなだけどホワイトタイガーなのよ」


 見た目がこんなだと言われたことに怒ったのか「しゃあ!」と牙を剥いている、子トラ。

 その姿もかなりカワイイ。

 そんなことを思いながらもジークとリーナに不満そうな顔を向ける。


「だって、子トラの名前なんて付けたことないんだもん。それにこの子はこんなに可愛いんだから猫みたい名前でも良いんじゃない?」


「だから、この子は凄く大きくなるのよ。大きくなったらカワイイというより強い感じになるんだから」


「そうだぞ。カッコ良くて威厳のある名前にしないと」


「ぶ~~」


 強そうな見た目でもカワイイ名前だっていいじゃないか。

 口には出さないが僕は唇を尖らせていた。


「だったら、二人はもっといい名前考えられるの?」


 僕の台詞に二人は自信満々に頷いている。

 その笑顔が非常に怖い。

 僕は余計なことを言ってしまったとすでに後悔し始めていた。


 と言う訳でリーナから


「ねえねえ、シグルト・フォン・フォーエンバッハなんてどう?」


「長いよ! それにフォンはマズいって。幻獣だからってバレたら不敬罪に問われかねないよ」


 この国ではフォンを名乗れるのは伯爵以上の貴族だけだ。

 そんなものをペットにつけたと知られたら不敬罪で殺されても文句は言えない。

 例え、幻獣でもそれは一緒だろう。


 そんな僕の言葉に口を尖らせながらリーナは


「じゃあ、フォンは取ってもいいわよ。でも、だったらセカンドネームが何か欲しいわね」


「だから長いって。なんでそんな偉そうな名前をつけたがるかなあ」


 僕はガックリと肩を落とす。

 そんな僕の肩にジークが手を置きドヤ顔をしてきた。


 ああ、こんな顔をしている時はろくなことを考えてない時だ。


「ネーミングセンスのないあいつのことなんて気にするな」


 その台詞にリーナの目が鋭くなるがジークは気付かない。


「そんなに言うんだから、あんたは余程良い名前を思いついてるんでしょうね」


「当たり前だろ!」


 完全な皮肉なのにジークは力一杯答えている。

 そう言ってジークが考えたのは


「白き流星とかどうだ!」


「厨二病」


「それって名前って言うよりあだ名とか二つ名って感じだよね」


「じゃあ、ホワイトファング」


「だから厨二病?」


「オオカミにつける名前じゃないか」


 リーナと二人で見つめ合い肩を竦めて見せる。


「ぐぬぬぬ。でも、カッコイイじゃないか!」


「カッコイイというか。寒いわよ。大人になった時にそんな名前を付けたこと思い出したら黒歴史になるわよ。それにそんな十字架この子に背負わせられないわ」


 うんうんと僕も頷く。

 それになんと言っても可愛くない。


「じゃあ、どうするんだよ」


「だから、クレア・アレクサンドラ・ウィンザー」


「白い稲妻なんてどうだ」


「ヴィクトリア・ユージェニー・オブ・バッテンバーグ!」


「閃光の爪牙!」


「「ぐぬぬぬぬ」」


 二人が顔がくっつくような勢いで睨み合っている。

 かなり二人はヒートアップしていた。

 そんな中、僕は盛大に溜息を吐きながら。


「ねえ、シロちゃん君はシロでいいよね」


「にゃあ!」


「本人も気に入っているみたいだし、無難なんで良いんじゃないか?」


 ライルの賛同もあり、こっそりと名前が決定していた。

 そうとも知らずに言い争いを続ける二人を僕達は呆れたように見ているのだった。


 一件落着


 ………………


 …………


 ……


「ちょっと痛いよ。ニーニャ」


「ピーピー!」


 なぜか怒ったように僕の頬をくちばしで突っついてくる、ニーニャ。

 意味がわからずに僕が困惑しているとライルが


「もしかして、こいつも名前が付けて欲しいんじゃないのか?」


「そんなバカなこと」


「ピー!」


「どうやら正解みたいだぞ」


「マジですか」


 どうやらこのバカバカしいやり取りは続くらしい。

 もう勘弁してくれと涙目になる僕でした。


いつもお読みいただきありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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