第一話 ジークの誘い
これは以前書いた短編小説の連載版です。
しばらくは毎日更新いたしますが書き溜めが無くなり次第不定期更新となります。
よろしくお願いします。
ちなみにプロローグ部分の五話は短編とほぼ同内容です。
ご注意ください。
「これからスキルを得るんだ」
僕は期待と不安を胸に抱きながら教会を見上げていた。
先週、僕は十五歳の誕生日を迎えた。この国の人間はすべて十五歳になると教会で洗礼を受ける。そして、その時に神の加護、スキルを得るのだ。
このスキルは多岐に及ぶ。
剣の才能だったり、魔法の才能だったり、鍛冶や商売など様々だ。
小さい頃から冒険者になることに憧れていた僕としては戦闘系のスキルが欲しい。
勇者とは言わないけど剣のスキルなんかに憧れる。
でも、魔物と接近戦をするのは怖いから何か属性魔法でも覚えられたらいいなぁ。
そんなことを漠然と考えていた。
ただ、それはあくまでも願望である。
スキルは大体遺伝するもので、商人の子供には商売。
農家の子供には農業と親が持つスキルを受け継ぐものだ。
だけど、格好良く魔物と戦う冒険者に憧れてもいいじゃないか。
僕くらいの年代の男の子ならそれは当たり前のことだと思う
そんなことを考えながら僕は教会を見上げていた。
「おい、マルコ。まだ入らないのかい」
「ジ、ジーク。いつからそこにいたんだ?」
僕はいきなり声を掛けられてびっくりしていた。
そんな僕の反応をジークはおかしそうに笑っている。
僕はそんな彼を見て少しムスッと頬を膨らませると、ジークは笑いながら僕の頬っぺたをプニプニと摘まんできた。
「そんなに怒るなよ。本当にマルコは可愛いなあ」
「うう。やぁめぇろぉ」
ブンブンと手を振り回してジークから逃げ出すと彼はまた笑っていた。
こいつはいつも僕をからかってくるのだ。
根は良い奴なのにこうやってからかってくるところだけは好きになれない。
こいつはジーク。僕の幼馴染みで凄い奴だ。
背が高く、体形は細身に見えるが筋肉で引き締まっていて、見た目以上に力がある。
金髪碧眼で顔もいい。
同年代の女の子はみんなジークを見てキャーキャー言っていた。
それに勉強も学校で一番だったし、剣の腕も一流だ。
まだ、スキルを得ていないのにスキルを持つ冒険者の相手ができるのは学校ではジークだけだった。
そんな彼はわが街の期待の星だ。
ジークの父親は国の兵士だが、彼は将来、騎士団、それも近衛騎士になれるんじゃないかと、もっぱらの評判である。
そして、僕はいつもジークと比べられて悔しい思いをしている。
僕がそんなことを考えているなんてちっとも気付いていないんだろうなぁ。
と僕はジークを上目遣いで見上げる。
彼はこちらにニコリと微笑みを向けていた。
「もう、ジークなんて知らない」
なんだか腹が立った僕はそっぽを向いて教会へと足を向けた。
少し気持ちが沈んでいたがこれからスキルを得るのだ。
僕は自分の頬を叩いて気合いを入れなおす。
うん。僕は冒険者になるんだ。
そんな僕を慌ててジークが追いかけてきた。
そして、僕の肩を掴んで止めると
「マルコ。ちょっと話があるんだ」
「なんだよ。ジークのことなんて知らないんだから」
そう言って振り解こうとするが、ジークは手を放してくれなかった。
きょとんとしながら僕は振り向く。
「真面目な話なんだ。聞いてくれ」
そこにはさっきまでのおちゃらけた雰囲気はなく、真剣な目をしたジークがいた。
何だろうと訝しみながらも、僕は彼に向きなおる。
「オレは今日、スキルを得たら王都にいって冒険者になろうと思ってるんだ。だから、マルコがもし、戦闘系のスキルを取れたら一緒について来てくれないか?」
真っ直ぐに見つめてくるジーク。
そんな彼に僕はどう答えていいかわからなかった。
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