My Favorite Things
好きな浜辺があるといい
ゆるやかなカーブを描く砂浜
見知らぬひとの
大きさの違う足跡
無数のもの言わぬ貝殻が
ただいまと佇む
そんな静かな浜辺があるといい
好きな夜があるといい
弱々しく光る星を並べた濃紺
たなびく雲の
淡い影を貫く月明かり
広々と敷かれた闇が
おやすみと囁く
そんな暖かな夜があるといい
好きな花があるといい
幾度となく通りすぎた道の途中
意固地なアスファルトの
隙を掻い潜る強かな緑
透き通る風に揺れる花弁が
大丈夫と頷く
そんな素朴な花があるといい
好きなものを好きだと言えるといい
やるせなさばかりが募る日々
大きくついたため息の
数だけ数えあげる宝物
思い出す度に浮かべる笑みが
まだ見ぬ明日へと続く
そんな自分をいつか好きになれるといい