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親愛なる妻へ  作者: 崋山
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年子

真心の遺体は検死用の布団に寝かされている。末の次男と長女の娘が事情聴取されていた。家にいたのは、末の息子だけだった。昨日無理をしてでも帰ってれば、こんなに悲しむことはなかったのに…長男の涼太が泣きながら帰ってきた。婚約の発表をするはずだったのに。



大学を卒業した後だった。真心が妊娠したと言うのだ。大学の卒業をきちんとして、涼太の養育費にバイクを売り払い、そこそこの中小企業に勤務している。車を買い、大学付近の1LKのアパートを借りて、少しはゆっくり出来ると思ったが、予想外の出来事だった。しかも、求人内容とは異なる勤務時間なのでブラック企業だ。新入社員は雅人一人で、新入社員歓迎パーティーの準備も何故か雅人である。勤務時間も10時間は越えている。その上、二人目の子どもは正直身体が持つか…。しかし、真心は産むことを考えてる。雅人がへばる訳にはいかない。しかも、子どもは想像以上にかわいい。その笑顔も希望だ。絶対に弱音を吐かない一心だ。しかし、病院の産婦人科医も様子がおかしい。問い詰めると、死産の可能性が高い。仮に産まれても、障害を持つ可能性は非常に高い。それは、真心にも言えることだ。間違いなく帝王切開だ。雅人は悩む。今は真心だけにはいかない。ただ真心を信じる思いだった。男の子か女の子かさえはっきりわからない。非常に不安定な状態だった。雅人はどんなに忙しくても、必ず、真心の入院している病院に面会に行く。その間、涼太は真心の両親に預ける。雅人の中では真心が一番重い。つまり、真心の守るものも同等に価値がある。真心の両親が近くに住んでいなければ、雅人は確実に仕事が出来なくなっていた。

父の日もお構い無しのこの季節。予定日は来年の5月だ。弱音を吐くわけにはいかない。真心も衰弱してはいけないと思い、暑い季節の果物をよく食べていた。真心はビタミンの豊富な果物が大好きだ。真心の両親もよく面会時に渡していた。涼太は離乳食や母乳などが一般的だが、普通に果物を細かくして食べさせていたという。

寒くなったこの季節。クリスマスも近い。真心には充分な、栄養を必要とする。だが、そのストレスのためかよく嘔吐をする。出来るだけ消化にいいものを食べさせたい。だが、真心本人のリクエストも聴く。なのになぜ、こんなに寒い季節にソーメンをリクエストするのか…。しかも不味いソーメンは嫌がる。少し離れた地域は都会なので、そこで探す。何とか探しだし、リクエストに応える。

そろそろ春に近付く。なのに、陣痛を起こし産気付いたのだ。予定日はまだまだ先のはずだった。未熟児は免れず、病院命令で帝王切開を行った。たまたま、病院に帝王切開と未熟児の実習をしている新聞にも載るような産婦人科医の教授が、実習も兼ねて帝王切開を行った。体重が1200gの女の子だった。脳や健康面等にはに異常は見られず、健康な赤ちゃんだった。真心と雅人はこれからのことを願い、「 京香キョウカ」と名付けた。その後も京香は、幾度となく、風邪であっても入院だったが、その困難は乗り越えられる。

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