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親愛なる妻へ  作者: 崋山
3/4

発覚

家に着くと一番末の息子が待ってましたと言わんばかりに泣きだしている。息子は指をさす。事件性も考えられるために、暫くは警察もいる。だが、雅人の眼で見ても、事件ではなく自殺だ。息子の指す方向には風呂場がある。そして床には焦げた跡が残っている。風呂場のドアは壊れている。以前に帰って来たときと変わり果てている。




そろそろ修了式間近だが、事件が起きた。二つ同時に起こった。真心が妊娠してしまった。大学をやめざる得ない状況だ。それだけではなく、出席日数の関係で、留年確定だ。とりあえず考えることは、真心には生むことだけを考えていただくよう説得する。卒業よりも、新しい命の誕生は希望でもあるように。次に両親と真心の両親だ。腹はくくっている。真心を人生で一番愛することを誓い、真心を守り抜くことを約束する。それは雅人だけではない。互いに支えあうことを意味する。真心は大学をやめても守ってやると決心する。どんなことを言われようとも、腕がなくなろうとも、身体があるかぎり真心と一緒だ。仮に世界中の人間と真心を天秤にかけても真心への愛がずっとずっと重い。その思いが強かったから真心の両親には、雅人の大学の卒業を約束を条件に結婚を許した。そして、雅人の両親は泣いて真心に謝る。もちろん、大学の卒業を許していただいた真心の両親にも。

この汚名は決して忘れない。ただ建前上だけの結婚式を挙げる。近くの名前も知らないような宗教の小さい神社で挙げる。互いに熱いお茶を差し出される。今年の12月に出産予定日だ。

雅人は青春の遊びを忘れ、ただ卒業することを考える。もちろん、真心を連れてどこかに行くことも考えている。学業とアルバイトで血ヘドを吐く想いだ。二人だけで住む家の資金も考えている。真心も働けるときは、無理のない程度に働く。

予定日が近付くに連れて、真心も出産の準備を開始する。真心の両親はまだ孫とは思えないと怒る。予定日になると、産気付く。どうやら、予定日通りに産まれる。雅人は授業が重なるために、真心の両親が立ち合いのもとだった。14:09に産まれる。名前は「涼太リョウタ」と言う男の子だ。

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