平和な学生と危機を確信した学生
今回の冒頭のニュース部分はちょっと意味が分かりづらいでしょうか?
このニュース部分だけは変更するかもしれません
『それでは、道路交通情報センターの田辺さん』
画面がニューススタジオから切り替わる
『はい、田辺です。きょう未明に首都高旧湾岸線にて発生したトラックと軽自動車の衝突事故により…』
『…えー、そして本日は午前11から正午にかけて成田空港からの国道〇〇号線が通行止めとなります』
『はい、ありがとうございました』
「雄大ー!起きなさいー!学校遅刻するわよー!」
「・・・はーい・・・」
眠いな・・・
今日も俺は学校に向かう
今日は・・・おお!二月十四日木曜日!バレンタインデーではないか
製菓会社の陰謀といえど、やっぱチョコはいいよね
帰り道にて
「ちくしょ!ちくしょ!リア充どもめ!」
「落ち着きたまえ後藤君、今日はどうせ製菓会社の陰謀記念日だ、気にする事はない」
記念日ってなんだよ、しかしそこには突っ込まない事にする
「そういうお前だってもらってないだろ」
「いや・・・」
そう言いながら制服の隙間からリボンらしきものがついた箱を出して、すぐ引っ込めた
「・・・」
「どうした後藤、欲しいのか?」
やや自慢げな顔
「い、いるわけ・・・」
すると石田はポケットに手を突っ込み、何かを取りだした
目の前に差し出される市販チョコ(市販である、石田がもらったチョコではない)
「もらう訳がない、と思っていたんだがな、もらってしまったので食うと糖分の取り過ぎになる」
「・・・」
・・・こ、こいつ・・・学校が終わったらチョコと共に哀愁をかみしめるつもりだったな・・・
結局、俺は市販のチョコを食べた
しかし・・・石田がここまでのチョコ好きとは・・・
慰めてくれたのだろうが、リア充にもらうチョコの味はいいものではない
「はあーーーーーついてない・・・」
「後藤君、そもそも『運』とは気分の問題であって、問題点は結論からいって自身の事になる。つまり君は自分で自分を貶していることになり、それを運のせいにするのは典型的な現実逃h…」
「だまれ、リア充」
「なるほど、今日から僕もリア充か・・・感慨深いな・・・」
「(怒)」
「どうした?」
「・・・なんでも」
交差点に差し掛かったころ
「ん?何だあれ」
交差点の一角にある交番の前に装甲車が止まっている
確か・・・最新型の戦車随伴車だっけ?
藤木が熱く語っていたっけ
「21式兵員輸送車、か・・・なんでこんなところに?」
後方のドアが開いて、数名の制服さんが降りてくる
降りてきた数名は、まわりを見回しながらメモを素早く書き取っている
何をしているんだろうか
石田がその様子を見ながらつぶやく
「やっぱり国も動いてんのかな・・・」
「またあの話か・・・」
「おい、後藤君、ちょっと彼らの横を素通りしないか?」
「盗み聞き??」
石田はちょっと得意そうな顔になり
「素通り、だよ」
立体歩道を渡り、交番の前に行く
少々大きめの声で彼らが話しているので聞こえてしまった
・・・決して聞こうとしていた訳ではない
「……ったら、歩道橋を使えないだろうか」
「うーん、そうだろうか、ここは使えないのでは?」
「いや、もう少し後ろの交差点も見てみよう、話は……」
ある程度通り過ぎると石田は振り返り
「ほらな、やっぱり」
「何が?」
「政府は準備をしている、つまり…」
石田の携帯が鳴り響く
彼は素早く電話に出た
『はい、もしもし石田です・・・なんだね山本君、君と話す程の時間はない・・・ああ、霞ちゃんか・・・え、「早速ちゃん付けするか」?別にいいじゃないか、というかのぞき見していたのか?・・・まあいい、で何の用だ・・・・・・そうなのか・・・分かった・・・じゃあな・・・ああ、幸運を祈る』
石田は携帯を閉じ、向き直った
真剣な眼差しで俺を見る
「やはり・・・日本にも来るぞ」
「な、何がだよ・・・」
彼は俺をまっすぐ見据え
「反社会的人格障害」
と言った
あまりに唐突だったから、俺は何も言わなかった
・・・首都封鎖まであと2日
タイトルと内容が・・・と思う人もいるかもしれません
この回を初めに執筆した時、すごい短かった(書き直した後も短い)ので、イベント的な要素をいれてみました。
石田がどんな人間なのか分かってもらえれば幸いかと
なぜ2月14日なのかと言うと
ちょうどこの小説を書こうと思った週に2月14日があったからなんですね
それで入れてみました
・・・ちなみに石田クンとその彼女さんの恋愛を「描写」するつもりはありません
思うに、緊急事態では男も女も恋愛なんてしてる暇はない!