平和な学生と危機感を覚える学生
今回の舞台は学校です
『おはようございます、朝のニュースの時間です。大山防衛大臣は長瀬総理の承認を経て、昨日午後「治安出動待機命令」を発しました、これは事態が緊迫し、自衛隊による治安出動が予測されるときに発せられるもので、一部メディアは過敏反応と報じています』
「おはよう~」
「おはようございます」
日曜が明ければ月曜だ
月曜は学校だ
月曜が明けても火曜だから学校だ
学校は怖いね
うん、怖い怖い
「なあ後藤、今日、数学のテストだよ」
来るなりそうそう藤木に話しかけられた
「え、数学、てすと?」
「いや、言ってたじゃん」
俺は教室のイスから立ち上がり、藤木に宣言する
「さあてと、俺かえるわ」
「は?」
「さようなら、ミリオタくん」
「おいおいおい、帰るのかよ、そして俺はミリオタではない」
「それでは」
その途端、ドアが開いた
「ん、後藤?帰んですか?」
げ、先生だ
ちなみに年老いていて、すでに前線は北極点を突破している
「いや、発症しましてね」
数学が嫌い症候群が
「???」
「・・・いえ、何でもないです」
一時限目の終了を示すチャイムが鳴り響く
「・・・終わった」
二重の意味で
「なあ、後藤、聞いてくれよ」
隣の席の石田がカバンから数枚の紙を取りだした
「なんだよ」
「これ、どう思う?」
「?」
彼が見せた紙はネットニュースのコピーだった
誠に残念な事に英語で書いてある
しかし、英語の必修が義務付けられている学生にこの程度の英語など・・・
「・・・読めん、英語か?」
「ほら、下に訳が書いてあるぞ」
「あ、ホントだ」
『謎のウイルスが勃発』
「何これ」
「4日前の記事だ」
「4日前って、政府発表の前だろ」
「ああ、現地入りしてた英国人記者の記事だ」
「ふーん」
「そして、だ」
石田は少し間を置き、もう一枚の紙を見せる
「これは二日前」
『中国国境線で銃撃戦?』
「はあ・・・」
あまり興味がないんだがな・・・
「でだ、俺はこの一見、本物だと思うんだ」
「本物?」
石田は
「そう、このウイルスは世界を崩壊させる」
「崩壊?」
んなわけないだろ
「石田、お前なぁ・・・ウイルスで世界崩壊って・・・世界はそんなもろいものじゃないんだぞ」
「いや、この事態に政府は対応できないはずだ」
「石田、お前の目は節穴か」
「む、我がライバルの山本君ではないか」
そう呼ばれたのは山本政治、努力せずに高得点を叩きだす男である
「人権保護団体『ヒューマンズ』の日本支部公式ホームページを見ろ」
そう言いながら、スマホを彼は取り出す
「ほれ」
『日本政府は地に堕ちた!違憲法律!』
「違憲法律?」
「『反社会的人格障害』に対抗する日本政府の錦の御旗だ」
またその病名か
そこまでこの話題は重要なのか?
「特例法案だっけ?」
「そうそう」
「トクレイホウアン?」
「そんな事も知らんのか」
「特例法案というのは…」
「なあ」
気付くと俺は口を開いていた
「なんだよ後藤」
「たかがウイルスでそんなに騒ぐか?普通」
「今回は普通じゃないんだよ、中国は報道管制を頑張っているが情報は漏れた、重慶にて大量の暴徒発生…だそうだ」
「じゃあ、石田と山本が言いたいのはあれか、この世界がゾンビ映画にでもなると?」
すると山本は断言した
「あり得ない、政府は映画監督達がそう思うほど弱くないし、今回は事前に分かってるんだ、事態はきちんと処理される・・・はずだ」
・・・いや、断言ではなかったようだ
「そうだな、法律を作る余裕すらあったんだ、部隊の準備や計画もバッチリだといいんだが・・・」
石田も続くが歯切れが悪い
「いや、俺が聞いたのは国の事じゃないんだけど・・・」
「ったくよお、お前にとって重要なのは、ウイルスの真偽よもりこの国のライフラインが保たれるかどうか、違うか?」
「あーでも、後藤にとってはウイルスは実在してた方がいいんじゃないか?」
「なんで?」
「学校が休みになるから」
おお!
それは素晴らしい!!!
俺が素晴らしいと盛り上がっているの様子を、石田と山本が「話にならない」とため息をついた事、俺が気付くはずもなかった
・・・首都封鎖まであと4日
次回、いよいよ状況が・・・
次回投稿は予定通り明日です