表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/27

終章 女性記者と編集長

この話は、もともと予定されていなかった回です

思いついたので、最終話として投稿させていただきました

ある新聞社の女性記者である高坂は、放棄された封鎖区のあるビルの中で、隠れるように食事をしていた

彼女は、あの後必死で逃げ、逃げ、逃げ続けていた


ふと、彼女のポケットに入っていたスマホが振動する、恐らく電話だろう

しかし、彼女は気付かないかのように食事を続ける、どれだけ腹が減っているにしても、今の彼女の『食』への執着は、いささか不気味だ


床に直接座り、前傾姿勢で食べていたせいだろう、スマホがポケットからこぼれ落ちる


画面には予想通り、『電話着信 編集長』と表示されていた

しかし彼女はそちらを一瞥しただけで電話に出ない、それはあまりにも彼女らしくない行為だった












電話に誰もでなければ、当然留守番電話に切り替わる

新聞社のオフィスで、高坂の上司でもあるこの新聞の編集長は、事務的な留守番電話ガイダンスの機械音声に耳を傾けていた


メッセージ録音開始の合図である電子音が鳴った、制限時間は三十秒

「もしもし、私だ高坂君、あの電話の後、メールも電話もないな…」


まるで自分に言い聞かせるような言い方、しかし録音できる時間は限られている、素早く要件を伝える


「たった今、関東地方の一部が放棄された、どうやら封鎖線が破られたらしい、当然ながらこの建物もその放棄地域の中にある」


まくしたてるように急いで喋る、だが、ここからはゆっくり言い聞かせるように話したかった


「この事態が沈静化したら、またどこかに食事に行こう、もちろん(おご)ってやる、ゆっくり夜景でも眺めて、な、だから、絶対に…」


電子機器に願うかのように語りかける編集長の声を、録音終了の電子音が遮った

彼は、誰もいないオフィスの中で、ひとり、受話器を握っていた












『<愛読者の皆さまにお知らせ>関東地方の一部放棄に伴い、弊社は一時閉鎖されます、過払い分の料金に関しましては…』

  <神奈川新聞HPより抜粋>

次話は後書きになります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ