2月17日 平和な学生の平和な一日
『おはようございます、今日は2023年の2月17日、日曜日です。日本政府は昨日午後4時、反社会的人格障害に関する国民保護の為の法案に基づいて、東京中心部を封鎖しました、封鎖地域は画面に表示されている通りです、また、封鎖地域にお住まいの方は…』
テレビは昨日よりも落ち着いていた
昨日は「繰り返します、東京はすでに封鎖されました、今から封鎖線を越えるには手続きが必要に…」と言った様子でキャスターも慌てていたが、落ち着いている様子を見るからに状況はいいのだろう
充電器に差し込まれたスマホを見る
『メールを受信しました』
「・・・またか」
『大丈夫か? From藤本 02:38』
『だから言ったろ From石田 03:00』
『だから言ったろ From石田 04:00』
『だから言ったろ From石田 05:00』
『だから言ったろ From石田 06:00』
『だから言ったろ From石田 07:00』
「・・・増えてる・・・」
このまま放っておくのはどうかと思うし、見るしかないな・・・
『開く』を押す
題名:だから言ったろ
From:石田
本文:
対策はしていたのか?
・・・しなかったよな
本題に移ろう
俺の家に来ないか?
こっちなら
多少は準備がある
人間、群れた方がいい
覚悟があるのなら
来てくれ
返答を期待している
・・・まったくこいつは・・・俺にどうしろと言ってるんだ・・・
「おーい雄大、飯にするぞ」
父親の声だ
「なあ、どうするんだ?」
「ああ、安心しろ」
父親はやけに安心した様子で話している
昨日は都内の親族全員に安否確認を取っていたというのに
「昨日の夜、区役所に連絡して、封鎖外に出る手続きをしておいた、明後日には区役所の人間が迎えに来る」
「そういう事か・・・」
なら大丈夫か
メールを石田に返信する
一分もたたないうちにメールが返って来た
題名:Re2:だから言ったろ
From:石田
本文:
区役所に頼るのか
決して間違ってはいない
しかし
脱出には時間がかかるだろ?
どうなっても知らないぞ?
・・・どうしたものかね・・・しかし、時間か・・・
「なあ」
父親は朝食から顔を上げた
「ん?どうした雄大」
上空を飛ぶヘリの振動音が部屋の中にも入って来る
その音が消え去るまで、いい言い回しを考えたが、いい考え方は出て来なかった
「ホントに脱出できるのかな?」
その瞬間、父親は食事の手を止めた
ああ、やっぱり怒るのか
「はあ?何言ってんだ、脱出できるに決まってんだろ」
何で決めつけんだよ、この際はっきり言ってやろう
「でもよお、脱出するためには保護観察期間があるんだよ、そうなると俺らの命は政府次第だろ?」
コーヒーを持ちあげかけた父親はとたんにコップを叩きつけた
「何言ってんだ!現実を物語り扱いするな!」
俺の父は過度な妄想による物語が大嫌いだ、こうなる事は分かっていた
それにしても、こいつもこの事態が逃げねばならないほどの一大事と思っているようだ
「職員の話では明後日に来てくれるそうだ、そのあと2日間の観察期間だから、準備しとけ」
父はそのままリビングを出て行った
「どうしたものかね・・・」
正直迷った
石田の言うように封鎖区を無理に出ようとするのはよくない、それは重々承知している
ただし、石田との考えは食い違っているが
しかし、父親に背いてまで東京に残るのはどうかと思う
家庭の亀裂を招いく可能性を犯してまでも残るか??
そんな馬鹿な選択は・・・
いや、封鎖線にはたくさんの人が集まっているはずだ
脱出とか言って人ごみに行く方が馬鹿ではないか??
というか、残っててもなんとかなるんじゃ?
いや、いかんいかん、政府に頼り切るな
うーん・・・
いやいやまてよ
そもそも窓の外の街は平和そのものだ、封鎖区内も安全なのでは??
「ダメだ、あとで考えよう」
まだ時間はある、後でゆっくり考えればよい
とっさの判断回避であることは分かっているが、俺はとりあえず携帯ゲームに目を落とした
次の投稿は三月二十八日です




