虚言の夏
Ⅰ
くそあちいんだよ、くそが。もうむしゃくしゃするし、やってらんねえ。なんで俺だけこんな目にあわなきゃいけねえんだよ、くそが、散々俺の足を引っ張りやがってクズどもが、あんな地方のカスみたいな環境で、あんなクズどもに関りさえしなけりゃこんなことにはならなかったんだ。あああああ!!もう、イライラする、あんな奴ら死んじまえよ・・だいたいなんでこんなに金がねえんだよ、あいつ金を出ししぶってんじゃねえの、まじで、くそ早く金だせや、ぼけが……ああ、ああ、もう携帯どこだよ、見つかんねえよ、どこだどこだ、おーい、どこだー、ああ、なんでねえんだよ、ボケが、くそ・・ああ、あった
プルル…プルル…プルル…プルル…
「おい、ちょっと出るの遅すぎ、何やってんの?ほんと、まじでイライラするんだけど」
「いや、今トイレに行ってたのよ…そんなに怒らんでよ」
「ああっ!くそが、もう勘弁してくれよ・・!」
「で、何か用なの」
「こっちなあ今電気止まってんだよ、この携帯だって店で充電してきたもんだし、まじ勘弁してくれよ、まじ暑いし、どうすりゃいいんだよ」
「うん、でも仕方ないやろが、給料まであと5日なんだからそれまで我慢してもらわんと困る」
「ああああ、もう…こんなんじゃ勉強する気にもなんねえよ」
「・・・」
「マジふざけんなよ、くそが、俺が目指してるのは普通のところじゃねえんだよ?東大だよ?分かってんの?中高一貫校でぬくぬくと勉強に一心不乱に打ち込める環境でしかも塾にたくさんの金をつかってやってるような奴が相手なんだよ!そういう相手と勝負するには普通のやり方じゃいけねえんだよ!それなのに俺はこんな環境で暑さなんかにやられてる、くそが、やってられねえよ、どうすりゃいいんだよ」
「それはわかっとるたい、もう少しだけ待って、もうすぐ入れるけん」
「くそが、ああ、もう・・うわあああああ!死ねよ、もう」
ガチャ
ああ、もう嫌だ、くそむしゃくしゃする、殺したい、死にたい、もう嫌だよ、もう、もう、もうもうもうもうもう!うわああああああああああああああああああああああああああああああああ、ああ、もう!
はあ、はあ、ちょっとイラつくから少し外でるか、家にいてもむしゃくしゃするだけだし、もうたまんねえけどさ
ガチャ
ああ、暗えな、んん、ふう、外の空気吸うのもいいね、ガタンガタン…階段きつすぎ、体力ねえなほんと・・ん?げ、誰か登ってきやがる、めんどくせえ・・
「こんばんは」
「こんばんは・・」
きめえオヤジだな、こんな時間に帰宅か、うーん、大変だな、ほんと、よいしょっと・・ほんと田舎くせえなここは・・近くにコンビニぐらいしかねえし、暗えし・・たまには、川の方じゃなくてこっちの方行ってみようかな、あっちのほう飽きたし・・んああ、さすがにこの時間じゃ誰もいねえか、んんん!ああ、なんか飲もうかな、ああ、もう、なんだこの自販機ろくなもん無えじゃねえか、まあいいか、ガチャ!、プシュー!ゴクゴクゴク・・よし・・行くか・・ふぅ・・コンビニでも行って雑誌見ようかな・・
トゥルトゥルトゥルントゥトゥルトゥルルン
「いらっしゃいませー」
…女か・・・ブせぇな・・んん?・・こいつなら男いねえだろうし、もしかしたら、ヤれるかもしれねえな・・うん、そうだよ、くそむしゃくしゃするし・・やりてえ!
・・ああ、いつ話しかけようかな、ああ、チラ・・チラ・・女の方に意識飛ばしてたら感づくかもしれねえ・・ん・・ん・・ん・・ああ、よし話しかけるぜ
「あの、すみません、この後・・一緒に会いませんか?」
ああ、ヤりてえ、ヤりてえ、ヤりてえ・・!
「ええ、いや、私は勤務中なので・・」
「じゃあ、終った後、駄目ですか?僕待ちますんで」
「ええ、でも・・」
「何時に終るんですか?」
「4時ですけど・・」
「じゃあ、4時から会いませんか?」
「いや、その後用事があるのでぇ・・」
「じゃあ、今度会いませんか」
「ええ、でも、そういうお誘いはお断りしてるので・・」
「いいじゃないですか、いいじゃないですか、会いましょうよ・・」
ああ、きめえな、なんでこいつ了解しねえんだよ、警戒してんのか?
「いえ、ほんと、ごめんなさい」
ああああああ、もう
「じゃあ、抱きつかせてもらえませんか?」
「え?ダメ、ダメですよう」
「いいじゃないですか、いいじゃないですか」
じりじり・・ムギュ!
「やめてください、やめてください」
ドキドキ、ドキドキ、ん?・・げ・・誰か来やがった・・やべえ・・たたたたた・・ああ、あぶねえ見られたかな、やべえ変な噂立てられたらどうしよう、早く帰ろう
Ⅱ
ああ、大丈夫かな・・さっきのあの女の対応それほど悪くもなかったし、まるで脈なしではねえと思うんだけど・・どきどき・・あぁ、まだいやがったっ!・・よし・・
トゥルトゥルトゥルントゥトゥルトゥルルン
「いらっしゃいませー、あ・・」
・げ、動揺してやがる・・やべえかな・・?・・・ん?・・でもまんざらでもねえ顔してなくね?・・やるぞ・・
「あの、すみません、また来ました、さっきはすみませんでした」
「いえいえ・・」
「あの、これ、受け取ってもらえませんか」
「え?」
「僕の携帯のアドレスです連絡待ってます」
たたたたた・・たたたたた・・・やった・・やったぞ!あとは待つだけだ、これでヤれる、あの年増、モテもしねえだろうし欲求不満だろ?余裕だろ?まじで
どきどき・・どきどき・・どきどき・・どきどき・・こねえ・・まあ、そうだよな・・まだ一時間だし・・どきどき・・どきどき・・どきどき・・どきどき・・・ああ、もうこんな時間かよ・・もう終ってるはずだぜ?・・まだかよ・・どきどき・・どきどき・・どきどき・・どきどき・・こねえ!まじでなんなの、なんでこねえんだよ、くそが、俺はイケメンだぞ?くそが、あと5時間経ってこねえなら、もうしらねえ、くそが・・どきどき・・どきどき・・どきどき・・どきどき・・ああああ、こねえ!なんだよくそが、なんでこねえんだよ、くそがもう・・っ……
Ⅲ
・・やべえ・・危ねえ・・思えばあれはやばかった・・ほんとやばかった・・ヤる前に正気に戻って良かった・・マジで・・俺の初体験があんなクソブス女になるところだった・・完全に頭がおかしかったわ・・めちゃくちゃだった・・お母さんにも謝っとこう・・マジで何やってんだよ・・まじで・・今思えばぞっとするわ・・よし、謝っとこう・・んん?・携帯どこあったっけ?んん、どこだどこだよ?ん?チリチリチリチリーン!!んん・・?
「・・・こんにちは、コンビニの・・」
げへえ!