表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャドウサーカス〜闇と光の出会い〜  作者: シン
Second Show

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/55

今度こそ、一緒に

《ニナ目線》


「僕はね、ニナがいれば、お母様に何と言われても耐えられるよ。でも、ニナが笑えないなら、僕はあの家を捨てられるよ」

――ニナは、僕の光だから。


ニノは真っ直ぐ、迷いのない眼差しを私に向ける。

これは強がりじゃない。

ニノは、私のためならなんだってできる。


私はボロボロと涙をこぼした。

そんな私を見て、ニノは手をあわあわさせる。


「ニナ、どうしたの? 僕が勝手なことをしたから、怒った?」


私は手の甲で涙を拭きながら、必死に首を振る。


「違うの……ニナは、嬉しくて、悲しいの」


感情がぐちゃぐちゃになっている。

ニノの気持ちを知れて嬉しいはずなのに、

今までニナのためにいっぱい我慢してくれたんだと思ったら、すごく悲しい。


うまく言葉にできないけれど、それだけは伝えたい。


「ニノはニナのこと、ヒーローって言ってくれたけど……ニナにとって、ニノは王子様なんだよ」


今度はニノがキョトンと目を丸くした。


ニノがいっぱい伝えてくれたから、私も頑張って伝えよう。


「ニナは、普通ができないの。だからママは、ニナのこと好きじゃないの」


ずっと分かっていた。

ママは最初、とても優しかった。

でも、いつの間にか私の話を聞いてくれなくなった。


だから私は、“かわいい普通のニナ”になろうとした。

いつかママが、もう一度ニナを好きになってくれるって願って。


それでも、時々息苦しくなる。

そんな時、ニノが本当の私を見つけてくれる。


「ニノは、ニナが辛い時に現れてくれる王子様なの」


私の好きなぬいぐるみをこっそり持ち出したり、

使用人の目を盗んで木登りに誘ったり。

ニナが、ニナでいられるように。


「だからニノが、ニナをサーカスに誘ってくれた時、嬉しかったの。逃げる時も、ニナと一緒にいてくれるって。ニノはずっと、ニナのこと考えてくれたんだね」


私の話を聞いて、ニノは微笑み、両手をぎゅっと握った。


「今度こそ、一緒に逃げよう」


私は涙でぐしゃぐしゃのまま、大きく笑った。


「ニナは、ニノと一緒に逃げる!」


誰かを逃がすんじゃなくて。

今度は、二人で。


――


私たちの話が一段落したのを見て、サックス兄さんが口を開いた。


「二人とも、サーカスに残るってことだな。帰ったらウィルにも伝えろよ」


「サックス兄さんは、何も言わないんだね」


ニノが問いかける。


「お前たちの決断に、口出しはしない」


私は首を傾げる。


「大人って、“逃げるな”とか、“親と話し合え”とか言うものじゃないの?」


サックス兄さんは少し考えてから答えた。


「話を聞いて、思うところはある。だが俺はお前たちの今までを知らない。気持ちも知らない。なら、俺から言えることはない。お前たちの決断は、お前たちで責任を負え」


それを聞いて、変な大人だなと思った。

でも、ほっとした。


「変なのー」

「変だねー」


私たちは、いつものように笑った。


その時、上階からガラスが割れる音がした。


私たちはすぐ窓を開けて上を覗く。斜め上の窓が割れている。

屋敷の中から人の声と足音が増えていく。


「上にカイとリリィさんがいる。何かあったかもしれない」


サックス兄さんは冷静に言う。


「でも外に人の気配がいっぱいある。ニナたち、出られないよ」


そこでニノが顎に指を当てた。


「僕の仮面は持っている?」


私はスカートの中に隠していた黒い猫耳の仮面を取り出す。


「持ってるよ。どうするの?」


ニノはそれを受け取り、顔にかぶった。


「窓から出よう。下の方にはまだ使用人はいない。カイ兄さんに何があったかは分からないけど、僕たちが下で警備の戦力を分散させよう」


落ち着いた声だった。


サックス兄さんが目を見開く。

こんな冷静なニノ、サーカスでは見せたことがない。


そのことが、少し嬉しい。

ニノも、どこか高揚しているみたいだ。


私も仮面を付け直す。


「うん! 私たちで暴れ回ろう!」


サックス兄さんは苦笑しながら鬼の仮面をかぶり、槍に手をかけた。


「頼もしいな。じゃあ、ひと暴れするか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ