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シャドウサーカス〜闇と光の出会い〜  作者: シン
Second Show

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再戦

 馬車を近くの茂みに隠し、私達は気配を消しながら、領主邸へ歩いていった。


 ウィルさんは望遠鏡で屋敷を観察する。

 入口に人気がないことを確認し、指で行動開始を合図する。


 カイ、サックスとニナはすぐ仮面をつける。

 屋敷に入ってすぐ、私達は道を分かれた。

 

 貴族の屋敷は基本、最上階に寝室や貴重品を置く部屋が配置されている。

 入口の階は使用人の仕事場と休憩場所が集中している。

 2階以上の屋敷であれば、応接室やゲスト部屋は真ん中の階に置かれる。

 

 この屋敷には3階層ある。

 私とカイは、領主がいるであろう3階へ、サックスとニナは2階へ向かった。


 一階層だけでも、広さはかなりある。

 私達は手前の部屋から1つずつ中を覗く。


 本当は領主を探すなら、端の部屋から探した方が速いけど、あわよくば不正の証拠も掴んでおきたいという考えからそうしなかった。


 中には鍵がかかった部屋もあったけど、カイのピッキングで容易く入れた。

 そういう部屋は大体大事なものが入っているから、より慎重に調べる。


 しかし、今のところ収穫なし。


 やがて、執務室らしき部屋を見つけた。


 素早く中に入り、施錠する。


 灯りをつけると、光が外に漏れて、勘づかれる可能性あるから、暗闇の中で頑張って探す。


 私は真っ先に執務机を調べた。

 領の財務収支報告に、施策企画書、住民記録も不作法に引き出しの中に入れられていた。

 ぱっと見ておかしなところはない。


 だが、やましいものはこんなに見つけやすい場所に置かない。


 私は引き出しを1つずつ動かしてみた。

 1つだけ施錠してる引き出しがある。

 カイはすぐ開錠してくれた。


 中には収支手帳が入っていた。

 中身を見てみると所々大きい金額が書かれていた。

 だが、その収入源は書かれていない。

 証拠としてはまだ弱い。


 机を一通り調べた時、外から足音が聞こえた。

 足音はこちらに近づいている。

 カイはすぐ私の手を掴み、机の下で身を隠した。

 

 カイは私を背後から抱きつき、手で口を覆った。

 彼の体温が感じるほど、密着していた。

(意外と体温が高い)

 場違いにもそう思ってしまった。


 足音が徐々に遠ざかったのを待ち、私達は静かに机から出た。

 多分警備員が見回りをしている。

 本当は施錠してるし、灯りもつけてないから、隠れる必要はあまりない。

 

 私は本棚を調べ始めた。

 カイも私の反対側にある本棚を調べだす。

 ほとんどはただの書類のファイル。


 突然、カイが私の手を掴む。

 彼は、自分の調べている本棚の一箇所を指差す。

 ざっと見ておかしなところが当たらないけど、よく見ると本じゃない何かが置かれている。


 本の形した置物。

 外に出そうとしてもびくりともしない。

 (引いてダメなら、押してみよう)


 “ガチャ”って音がした。

 本棚全体が奥に移動し、横の本棚と重ねるように動いた。

 そこには、隠し部屋があった。


 カイの直感は本当に恐ろしい。

 彼に隠し事できる気がしない。


 隠し部屋の中には机と本棚が1つずつ置かれていた。

 机の引き出しはまたもや施錠されている。

 それを開錠し、奥から一枚の紙が置かれていた。


 それは、契約書だった。


 ふっと、カイは何かを感じたかのように振り返る。

 窓が開けられている音がした。

 当然窓は施錠してるはずだから、開けられていない。


 そしたら今度は窓が割られる音がした。

 窓を割った主はゆっくりとこの部屋に近づく。

 

 黒い髪が風に揺れる。

 暗闇の中で、血のように赤い瞳が不気味に輝く。

 口元は黒い布マスクで隠されている。

 耳には、赤い玉のイヤリング。


 「やあ、昨日ぶりだな」

 怒りがはらんだ、低い声。


 「まだ会えてうれしいよ。今度こそ逃がさないぜ、りりィ」


 カイは私の前に立ち、小刀を持って構える。

 私はゆっくり立ち上がった。


 「私達がここに入ってくるの待ってたんだね。いつの間にこんなに趣味が悪くなったの、ロイド」

 私達が部屋に入った途端、窓を割って入ってくる。

 偶然とは思えない。

 予め私達が領主に目をつけることを想定して、待ち伏せしているんだろう。


 この部屋の出入口は1つしかない。

 ロイドに行方道を塞がれた現状、私達に逃げ道はない。


 「よく言うよ。俺が取る策略は全部、お前から教わったものだぜ」

 彼は不敵そうに笑った。

 「てか、他でもない、お前がここの領主を断罪しようとしてるのか。とんだ皮肉だな」


 その言葉を聞いて、私はすぐカイに目を向けた。

 仮面越しだけど、特に動じてない様子。


 だが、私の反応が良くなかった。


 「――何、この男に知られたくなかった?」

 ロイドは更に声を低くして、彼の愛用武器であるかぎ爪をカイに向けて持ち上げた。


 「今からこいつを殺す。お前には俺しかいないっていうことを、わからせてやる」


 その宣言とともに、ロイドとカイはお互いに向けて、武器を振り上げた。

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