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シャドウサーカス〜闇と光の出会い〜  作者: シン
Second Show

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44/55

三日月の約束

その夜、サーカス一行は領主邸に忍び込むことを決めた。

 目的はニノの救出と――領主の暗殺。


 この二日だけで、東領が貴族至上の場所だということは十分思い知った。

 証拠を揃えて摘発しても、もみ消される可能性が高い。


 正直、領主を殺しただけで問題が解決するとは思えない。

 それでも、少なくともこの町の騒動は一時的に収まるだろう。

 

 計画は二手に分かれる。

 ニノを探す組と、領主を暗殺する組。


 暗殺はカイの得意分野だ。

 もう一人の戦力であるサックスは、ニノの捜索へ。

 ニナも当然、サックスについていく。


 サックスとカナは暗殺を強く希望したが、適性を優先した。


 ここでウィルさんは私に問いかけた。

 「リリィ様はどうされますか?あなたはサーカスのメンバーではないので、あえて危険に飛び込む必要はありませんよ。カイをここに残すことはできませんが、ご希望であればマリーを傍に控えさせることはできますよ」

 

 確かに、この暗殺はサーカスの決断だ。

 私がわざわざ巻き込まれる必要はない。


 カターレにいた頃の私なら、ここに残る選択をしただろう。


 だが――ここにはデケムがいる。


 昨日は運よく逃げられた。

 けれどカイ一人では、彼に勝てない。

 サックスでも足りない。


 もし忍び込む最中に遭遇すれば、

 ここにいる全員が死ぬ。


 それは困る。


 私一人では、領を越えて移動することはできない。


(何より――彼と決着をつけなければ、

 いつか私は連れ戻される)


「いえ、私も行きます」

 私はカイの方を見た。

 彼も私を見ている。


 「カイの方につきます。何があった時の伝達役にても使ってください」

 「そうですか。あなたの有能さは十分わかっております。今更止めません」

 ウィルさんはカイに視線を向ける。

 「それに、あなたがいると、カイはやる気出るらしい」


 ウィルさん再び、全員を見渡す。

 「では、サックスとニナはニノの捜索、カイとリリィ様は領主の暗殺、わたしとカナは指令塔として、屋敷の外側で息を潜めます」

 

 カナは蛇を首に巻き付け、カメレオンを手の上に乗せる。

 「サリーとミーミを連れていくよ。この子達にあなた達の状況を伝えてもらう」


 今回の計画は突発的だ。

 事前調べができない。

 だから全員、ある程度自己判断で行動しなければならない。

 失敗の確率も高い。

 だからこそ、ウィルさんとカナの役目は連携を取る上で重要になる。


 計画は決まり、私達は馬車に載って、領主邸に向かった。


 馬車に揺れながら、私はサーカスメンバー、一人一人の様子を伺った。

 ニナはまだ暗い顔している。

 片割れがいないだけで、彼女の調子が出ないようだ。


 カナとサックスを体力温存のために、目を閉じて瞑想してる様子。

 ウィルは馬車を御しているから、表情がよく見えない。


 私の隣に座っているカイ、ただ無心と前を見据えている。

 

 私はポケットから小さな箱を取り出した。


「ねえ、カイ」


 箱を開く。

 中には、町で買った三日月のイヤリング。


「これ、あげる。つけて」


 彼は珍しく、目を見開いた。


「これがあれば、どんな状況でも、私はあなたを見つけられる」


 私は彼の青と赤の瞳を見つめる。

 今は眼帯をしていない。


 カイは片方を右耳につけると、

 もう片方を持ち上げ、私の耳元へ寄せた。


「……つけて。俺も、お前を見失わない」


 私は一瞬戸惑い、

 けれど素直に左耳につけた。


「わかった。私を置いていかないでね」


 馬車は、静かに領主邸へ近づいていく。

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