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シャドウサーカス〜闇と光の出会い〜  作者: シン
Second Show

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42/55

嫌がらせ♡

倉庫の外から、大勢が騒ぐ音がした。

その音に、ロイドは思わず外へ視線を向ける。


その隙を逃さず、私は密かに蛇に噛み切らせた縄をほどいた。

蛇を手に巻きつけたまま、ロイドの視線とは反対側へ駆け出し、カイに向かって全力疾走する。


普段ならすぐ捕まるだろう。

だがロイドの注意が逸れている今、少しでも距離を稼げばカイが受け止めてくれる。


カイも同じ判断をしたらしい。

私が走り出すと同時に、彼もこちらへ向かって駆ける。


ロイドが反応し、手を伸ばしたときには、すでに私はカイに抱き上げられていた。


カイはそのまま出口へ走る。


「おい、待て!」


背後からロイドの怒声が響く。


私はカイの首に腕を回し、小声で告げた。


「彼、細かいことが苦手。糸で足止めできるよ」


十分距離が開いたのを確認し、私は降ろしてもらおうと彼の胸を押す。

だがなぜかカイは腕の力を強め、私を片腕で抱えたまま、もう片方の手で糸を張り巡らせ始めた。


人一人を抱えているとは思えない身軽さで、障害物を足場に跳び回る。


やがてロイドは糸の張り巡らされた範囲へ踏み込み、その足を絡め取られた。

転倒を防ごうとして前へ転がるが、その先にも複雑に張られた糸が待ち構えている。


「何だこれは、くそっ!」


もがくほどに絡まり、身動きが取れなくなる。


仕上げに、カイは積み上げられていた石油缶を蹴り崩し、ロイドの進路へ転がした。


これでしばらくは追ってこられない。


私たちは騒ぎの元へ向かった。


倉庫前では、何十人もの警備兵が仮面の四人と黒豹一匹を取り囲んでいた。


鬼角の黒仮面の男は長槍を振るい、迫る警備兵を次々となぎ払う。

羽毛のついた仮面の女は黒豹へ指示を出し、獣は威嚇と共に警備兵を翻弄する。

猫耳の仮面をつけた少女は舞うように足を狙い、相手の体勢を崩していく。


その中心で、紺色の仮面をつけた優雅な男が静かに立っていた。


彼は私たちを見つけ、微笑む。

そしてゆっくりと口を動かす。


「し・ま・つ・し・な・さ・い」

 

 カイは即座に小刀を数本取り出し、警備兵の肩や足へ正確に投げ放つ。

 次々と戦線が崩れる。


 私は周囲を見回す。

 長引けば援軍が来る。

 指揮系統を潰す方が早い。


 遠くで様子を見ている執事服の男が目に入る。


 「――十時方向、執事を」


 カイはうなずき、距離を取り、私を地面に降ろした。


 私は小瓶を取り出し、警備兵へ投げつける。

 催涙成分を含んだ液体が弾け、悲鳴が上がる。


 その隙にカイは背後へ回り込み、刃を執事の首元へ当てた。


 私は声を張る。


「管理人は制圧した!」


 警備兵たちは動揺し、やがて全員を無力化。


 安全を確認した後、倉庫内の子供たちを解放し、

 深夜直前まで町へ送り届けた。

――――


「旦那様、ご報告です。二番倉庫が何者かによって鎮圧されました。捕らえていた子供達は全員解放されたようです」


「なんだと! そこは一番大きい倉庫だぞ! しかも納品時期が迫っている」


 両手で「バーン」とテーブルを叩き、使用人に怒鳴った。


 使用人は怯み、肩を震わせる。


 わたしは指を咥え、どう対処すべきかを考える。

(ちくしょう。このままだと契約違反になる。報酬金どころか、協力関係を打ち切られる)


 それはまずい。

 今の生活はあそこからの報酬で成り立っている。

 ここで契約を破棄されたら、財務が回らなくなり、わたしは今の地位から追いやられる。


 そもそも誰なんだ。わたしの大事な倉庫を荒らしたのは。

 あいつらを見つけ出して、痛い目に遭わせてやる。


「旦那様、大変申し上げにくいのですが、派遣された協力者の方からも苦情が届いております」


「ええい、今度はなんだ」


 使用人は深く息を呑んでから、報告を続ける。


「倉庫の警備が力不足だと……」


「なんだと! そんなもの、あっちが派遣すべきだろう!」


 うちの警備の仕事はあくまで平民どもの相手をすること。

 荒事の処理に慣れていないのだ。


 我々は契約に従って、要求されたものを提供している。

 あちらもそれ相応のサポートを提供すべきだろう。

 くそ、事を解決した後、抗議文を送りつけてやる。


 しかし、目前の問題は納品すべき品がなくなっていることだ。

 ここは強引にでも、品を調達すべきだろう。


「警備兵全隊に知らせろ。明日からでも平民どもから子供を取り上げろ。名目は貴族の使用人候補を育てるためだと言っておけばいい」


 多少の混乱は大領主様がなんとかしてくれるだろう。


「いいか、十五歳以下の子供を見つけ次第捕えろ。一人たりとも見逃すな」

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