《ウィル目線》
「いいの、このまま帰らせて」
カナは目を細め、こちらを見てくる。
わたしは顎に手を当て、考え込む素振りを見せた。
こちらから何の反応も返ってこないことが不満だったのか、カナはさらに言葉を重ねる。
「そもそも、どうして昨日、彼女の参加を許可したの?
彼女を――表の世界で生きる人を巻き込んではいけないって、あんたも分かっているでしょう」
「彼女が、どういう存在なのか分からないからですよ」
カナの不満と問いに対し、わたしが返せる答えは、それだけだった。
最初は、ただ利用できる人間を捕まえたのだと思っていた。
カイが彼女を連れてきた時、妙に冷静な女だという印象を受けた。
事件に巻き込まれても、泣くことも恐れることもなく、ただ状況を分析していた。
それだけなら、度胸の据わった女だと解釈することもできた。
だが、カイを彼女に付かせた途端、任務に関する調査が急激に進み始めた。
カイ自身も、彼女に影響されたのか、命令とは無関係な行動を自ら取るようになった。
――事が、うまく運びすぎている。
彼女と協力関係を結んでからというもの、どうしても違和感が拭えない。
彼女が単に優秀なだけなのか。
それとも――。
(それに、彼女からは……わたしと同じ匂いがします)
どうにも、気味が悪い。
(これも、同族嫌悪というものなのでしょうか)
どうやらわたしの答えにカナは納得できないらしく、まだいろいろと口うるさく何かを話していた。
わたしはそんな彼女を置いて、店を出ようとした。
(さて、彼女を巻き込んだことが吉が出るか凶と出るか)




