表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャドウサーカス〜闇と光の出会い〜  作者: シン
First Show

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/55

私の実験/《カイ目線》

 カイに案内されたテントの中には、大きなテーブルと何脚かの椅子が置かれていた。

 私たちは早速、荷物をテーブルの上に置いた。


「カイさん、紙袋の中身を適当に並べてください」


 カイは言われた通り、紙袋の中身を次々と出していく。

 私も慎重に、持っていた四角い箱をテーブルの上に置いた。


 道具は揃った。実験を始めるとしよう。


 私は四角い箱の上に覆われていた布を取り除いた。

 中には一匹の白鼠が入った籠があった。

 本当は二匹欲しかったが、譲ってもらえたのはこの一匹だけだった。


「…………」


 カイさんは無言で籠を見つめていた。


「気になりますか?」


 その視線の意味を聞いてみる。


「……別に」


 カイはすぐに視線を逸らした。

 これ以上答えてくれる気はなさそうだ。

 無理に聞き出すことはしない。

 私は自分の実験に集中する。


 栄養剤を少量、注射器に入れる。


「カイさん、お願いがあります。

 ネズミを出しますので、抑えるのを手伝ってもらえますか」


「……わかった」


 カイさんは籠のそばまで来た。

 私が籠の入り口を開けると、ネズミはすぐに外へ出ようとする。

 それをカイさんは素早く捉え、私に差し出した。


「なるべく、しっかり抑えていてくださいね」


 私は慎重かつ手際よく、栄養剤をネズミに注射した。


「終わりました。ネズミを籠に戻してください」


 カイさんがネズミを籠に戻すのを見届けてから、私は紙に実験記録を書き込んだ。


 (栄養剤投入実験の準備は完了。

  一時間ごとに様子を観察。

  今日中に変化が見られなかった場合は、帰る前にもう一度投入。

  それまでは栄養剤の成分を分析……)


 すっかり実験に集中していた私は、

 カイさんから向けられていた視線に気づくことはなかった。


 ――――

 《カイ目線》


 あの四角い箱の中に生き物が入っていることは、

 彼女と会った瞬間から、すでに気づいていた。

 微かだが、箱の中から走り回る音がしていたからだ。


 彼女が籠をテーブルに置き、布を外したとき、

 思わず目を奪われた。


 籠の中にいた、かつての自分を思い出した。


 ネズミへの注射を終えた彼女は、紙に何かを書き込んでいる。

 そして、栄養剤の匂いを嗅いだり、他の液体と混ぜたりしていた。


 実験に取り組む彼女は、驚くほど別人に見えた。


 普段の彼女は冷静だが、

 診療所の医師や知り合いに向ける視線には、柔らかさがある。

 しかし今、目の前にいる彼女の目からは感情が抜け落ちていて、

 異様なオーラを放っていた。


 その目に、なんとなく、親しみを覚えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ