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シャドウサーカス〜闇と光の出会い〜  作者: シン
First Show

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12/55

《カイ目線》

 彼女に籠を押し付けられたあと、しばらく診療所の中を観察していた。

 窓越しに微かに見えたが、どうやら中で男が暴れているらしい。

 その姿は、昨晩の男の状態を彷彿とさせた。


 診察が終わり、人だかりが消えていく瞬間を見計らって、俺は籠を診療所の扉の脇に置いた。

 そして、そのままテントへと向かう。


「町で唯一の診療所に勤め、基本的な医療知識を持っている。薬の知識も、調薬できるほど身につけている。加えて、昨晩見せた鋭い観察眼と冷静さ……彼女は、想像以上に使えそうな人間ですね」


 ウィルは優雅にソファへ腰掛け、俺の報告を聞いていた。


「それに、暴れ出す患者と、この怪しい栄養剤。彼女は、いい情報源にもなれそうです」


 籠を置いた際、あのオレンジ色の栄養剤だけは、こっそり持ち帰ってきた。

 これは()()に関わるものだと、直感が告げていた。


「カイ。次のサーカスショーが開かれるまでに、彼女をここへ連れてきなさい」


「……どうするつもりだ」


 命令である以上、従うつもりではあった。

 それでも、なぜか理由を知りたくなった。


「おや、理由を聞くなんて珍しいですね。情でも湧きましたか? 知り合ってから、まだ一日も経っていないというのに」


「…………」


 何も答えない。

 俺に情などないことは、ウィルが一番よく知っている。

 ただの揶揄だ。


「まあ、いいでしょう。教えておいた方が、動きやすいでしょうから」


 ウィルは机の上の紅茶を一口啜り、言った。


「例の依頼について――彼女と、正式に協力関係を築こうと思います」

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