矛盾
※本作はフィクションです。実在の法律・人物・団体とは一切関係ありません。
昔々、中国の戦国時代…
くっそ、あのアホ客、マジで役人にクレーム入れやがって。
なにが「どんな槍でも突き通せない盾、どんな盾でも突き通す槍。そんなのは優良誤認表示では無いか?」だよ!
あんなもんセールストークに決まってんだろうが。ツッコミ待ちだよ。
『おいおいそんなの矛盾じゃないか』、『そいつぁ一本取られた』、『『あっはっは』』
てなもんよ。
それを真面目に通報しやがって。
おかげで、こちとら役人にガチ説教食らったわ。大人になってから初めてワンワン泣いたわ、チクショウ。
…でもな。それでへこたれないのがこの俺よ。
こうなったら本当の【矛盾】、作ってやろうじゃないか。
ということで、まずタングステンの丸板を用意する。
なに?この時代にタングステンは無い?そんな細かいことは気にすんな。
次に。こいつの両面に鋼鉄を貼り合わせる。タングステンだけだと脆いからな。
そして、持ち手側に衝撃吸収用の革を貼り合わせる。これでベースは完成だ。
そして槍はこっからだ。
見てろよ俺の天才的発想。
盾の表側、こいつをな。にょ~んって伸ばすんだよ。
なんて言ったら良いかなー?円錐形?東京タワー型。
なに?この時代に東京タワーは無ぇ?説明の都合だ。流せ。
でな、伸ばす。刺さるくらい尖るまで伸ばす。
これで完成だ!
どうよ?盾であり槍。槍であり盾。
刺されば【矛盾】の勝ち、刺さらなくても【矛盾】の勝ち。
どうだ!これで文句無ぇだろ。
よっしゃ、これ持ってまた街に行くぞ。客の声を聞いてくらぁ。
客「くっっっっっっっっそ重い。」




