第99話 虹の言祝ぎ
謡うは魂を癒す言祝ぎ。
リデル様とともに、このジャディス国を浄化するための洗いの言葉を紡いでいくのですわ。
『泉下の名来』
『習わし、紡ぎて』
『『雨の息吹を、ここに遣わす』』
紡いでいる最中は、リデル様と手を繋ぎ前を歩きます。布はすべて使い果たしたのでわたくしたちに穢れが来ても……聖浄を発動しているわたくしと繋がっているリデル様に影響はないはず。
実際、粘度の高い穢れが飛んできましたが。言祝ぎと同時に弾き飛びましたわ。
『白は黒へ』
『黒は青へ』
『青は紫へ』
『紫は緑へ』
『緑は橙へ』
『橙は黄色へ』
『黄色は赤へ』
色の変化は虹の数を分散させるため。
言祝ぎとして紡ぐことで、風の流れにより穢れを浄化するためですわ。
実際、弾いていく穢れがそのまま光の粒になっていきましたの。
『染まれ、白から虹へ』
『虹より彼方の黄金へ』
光の粒のおかげで進むべき道が出来上がっていきますわ。リデル様と目配せしてから、少し駆けながら城へと足を動かしていきます。
『大空へ』
『大地へ』
『山野へ』
『湖へ』
『川へ』
『『白を色に染めよ』』
強く、言祝ぎを紡いでいくごとに道筋が見えてきます。穢れで暗い空や道はまだそのままですが、少しずつ光が広がっていきますの。前がしっかりと見えてきますのよ!!
『とこしえに追うは春の息吹』
『冬の帝王を優しく寝かせよ』
『闇の音色』
『光の吐息』
『『ここに安寧の道筋を照らせ』』
普通なら国境とも言える場所から城まで行くのはとてつもなく遠いはずですのに。
言祝ぎと同時に、なにか魔法が作用したのかでふわっと駆けることが出来たお陰でしょうか。
光がキラキラと奥に向かって輝いていくのが目に見え……ジャディスの城が遠くに見えてきましたわ。
『染まれ、染まれ、広く光に染まれ』
わたくしが城壁の前で止まってから、壁に手を添えて言祝ぎを紡ぎましたの。
くすんだ苔のついた壁が、言祝ぎとスキルが同時に発動したことにより美しい色へと変化していきましたわ。
穢れはまだたくさんあるでしょうが、ここからが本番です。
玉座に向かって、溜まりに溜まった穢れと魂を同時に昇華させなくてはいけない。
もう一度、リデル様と向き合って頷く。門番など誰もいない孤城そのものですが気にしてはいけませんわ。
ここにはもう、生きている存在は誰ひとりとしておりませんから。
廊下を走りに走って、記憶を頼りに玉座らしき回廊を目指しましてよ!!
次回は月曜日〜




