第81話 協力者はほかにも(リーリル視点)
今回の姫様がお作りになられたお衣裳ですが。
型紙もですが、布選びについては協力者がいらしたことを聞いたら……畏れ多いなどと思ってしまうかもしれませんね?
その方が、妃殿下……殿下の母君でいらっしゃいますもの。恩人への手助けになるのなら……と、布を調達するときに知らせがありましたもので。
「ふふ。リデルが執心するくらいのレディになっているんだもの。協力しないわけにはいかないわ」
そして、ほかの布でお衣裳どころか普段着をお作りになられていると、姫様が知ったら卒倒してしまうでしょう……妃殿下は採寸をせずとも初見でサイズを測ることが出来る方ですから。
「……殿下は、とても喜んでいらっしゃいました」
「そうね? 自分の色を纏う婚約者が健気な行動をしてくれたんだもの。それは母としてもわかるわ」
「……羽目を外されるでしょうか?」
「抑え込んではいるでしょうけど。……執務室だからって、わからないわね?」
ご自分の過去の出来事を振り返られたのでしょうか。陛下とそれはそれは仲睦まじいご夫婦のおふたりのことですから……『なにか』があったのは、口に出すのも気恥しいですから。
私自身も、ディルス様とのことは色々恥ずかしくて言い難いですもの。
そんな話をしているうちに、妃殿下は姫様サイズの服を一着仕上げてしまわれました。
「……相変わらず、お早いですね」
「ふふ。娘となる子が出来たのよ? 自分じゃ息子二人だったし、セレストの方は向こうの仕事だから……そちらの仕事を取り上げたくはないわ」
「……妃殿下。クローゼットの中が窮屈になるほどには」
「肌着くらいは使い回しするでしょうけど。無いよりはいいでしょう?」
「……そうですね」
義理でも娘が出来ることが本当に嬉しくて仕方がないのが表情に出ている。私が城に仕えるようになる年頃から顔を布で隠されていた方だったが、姫様のスキルのお陰で『穢れ』が身体に沁み込むことがなくなった。
再び『虹染め』をする際には、あの手袋をはめれば問題がないことも判明している。
『呪い』『穢れ』を跳ね返せる、本物の『破邪』を生み出した姫様。
我々、イリス国の血族の可能性が高いことが話題になるものの……ジャディス国は穢れによって封印された状態。クロノ様が今は関わるなとおっしゃっているようだけれど……繭殿も残りひとつとなったから、この先の行く末が私なんかではわからない。
だけど、せめて。
恋する者同士の仲を引き裂くような流れにはなってほしくない。
せっかく、殿下もご自身の最愛を見つけられたんですもの。そのご両親である陛下方からの楽しみも奪いたくない。
妃殿下は私が見守っている中で、またさっさと言う感じに下着や肌着をふたつ以上作られたのだから……やはり、もう少し自重はしていただきたいとお願いするしかなかった。姫様がこのことを知ったら、軽く卒倒するかもしれませんもの。
次回は月曜日〜




