第78話 その頃のセレスト(アディルカ視点)
レティたちが、四方の地域にあるほとんどの『繭殿』を浄化してくれた報せ。
それはセレストにも届き、最後の『北』のそれを浄化するまでに私とライオスは持てるスキルを使って、『虹紡ぎ』を頑張っていたの。
レティに作ってもらった『虹染めの手袋』をはめれば、手が汚れで染まることはない。それが判明してから、セレストに戻ってきて仕事を打ち込むのが嫌だと思わなくなったの。
「……紡ぎの糸が足りないくらいね?」
「そうだね、アディ。繭殿から届く『糸束』で作っても作っても足りない」
ライオスと二人がかりで虹布を作ったけれど……若い私たちの仕事が早いからと、お母様たちに『休みなさい』と仕事場から放り出されてしまった。
ライオスも投げ出されたけど、ふたりして顔を合わせても苦笑いしか出てこないもの?
「なんか食べる?」
「そうする? 今更だけど、兄上たちのように野営ぽくしようか?」
「さんせー! 肉とかスモアサンドとか食べたくなってきたわ」
「すぐ準備しよう!」
旅路に出る必要がなくなった、アーストの第二王子。
ライオスは私より一個下だけど、気が合ういとことしての付き合いが長い分……将来の旦那様というか、良き相棒って感覚がなかなか抜けないのよね? 婿としての婚約者って関係は受け入れてはいるんだけど。
(かっこいいより、まだ可愛いが目立つのよね?)
成長期の途中くらいの年代だし、こっちが年上だから『お姉さん』として頑張らなくちゃって思っていた時期があった。あったんだけど……レティがアーストに来て、あの頑固なリデルの婚約者になったってところからライオスも変わってきたと思うの。
少しだけど、セレストの次期国王への意識が固まったというか。
アーストの爪弾きって意識が薄れていくように見えたの。私の気のせいかもしれないけど。
それと、仕事にも前以上に意欲的になってきたのが……私にとっては、なんだか輝いているようにも見えてきたのよね? 弟のように接していたけど、将来は婿になる次期国王としての意識が……あのリデルの変化があったせいで影響されたのかしら?
(というか、私を『女』として見てくれているの??)
一個違いだけど、外見はともかく……自分で言うのもなんだけど、がさつだし。
レティのお陰で、手の穢れは剥がれたけど……仕事人の手だし?
今更な部分が多いが、私はライオスとどうしたいのか。物凄く今更だけど……好意的な目で見ていたのかしら??
(あれ? ライオスに見て欲しいの?? どっちかわかんなくなってきたわ……)
レティがリデルとくっついたって報告を聞いたときには、ライオスとはしゃいだくらいにはなったのに……自分たちの関係が曖昧だから、少しもやもやしているのかも??
これって、実は……のあれ?
私、今更だけどライオスのことをいとこ以上に『男』としてちゃんと見てあげてたのかしら?? むしろ、向こうからアクションをかけて欲しいと願ってた?? あれれ???
次回は月曜日〜




