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第73話 月の北
来たか。
……来てしまったか。
はやい、速い。
まだ若い身空にして、そのうちの力は幼い。
我らの穢れは、神が受けていたそれに等しいのに。
知らないで来たのか。
知り様がないか。神との会話を閉ざされた今では。
(この穢れ……布に移すなど、稚拙。むしろ、もっと大きな『皮』がなければ)
血筋を受け継ぐ者らに、何故『穢れ』が色濃く移るのか……あの女子は知らないでいる。おのこの方も、詳しい伝承を受け継げていないようだ。
(……我らが『繭』である必要も知らないのか。憐れ……)
『陽』の東と西はあえて告げなかったようだ。繭糸を食べるだけ食べ、壁画の中で『その時』までの眠りに再びついただけ。
『月』の我や南が起きねば、陽は登れぬ。明けぬ夜空と同じく、月が沈まねば陽は登らぬ。
なのに、汝らは整いもせずに我らを後回しにした。それはおそらく、神の意向であれど。
(クロノソティス様……何故、そのような稚拙な行為を?)
我々を試すにしても、これだけの穢れを浄化できる女子だというのか? あの者が?
次回は水曜日〜




