表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル『洗濯』の能無し悪役令嬢は、冷酷王太子殿下と虹染めに夢中〜無自覚溺愛に振り回されつつも、隣国は楽園です!〜  作者: 櫛田こころ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/82

第66話 結局は腹ペコに

 なんということでしょう……。


 あれだけ、『腹ペコ』のイメージを無くそうと努力しましたのに。



「次はこれもどうだろう?」



 と、リデル様が薦めてくださる美味しいサンドイッチなどに舌鼓を打ってしまい、ぱくぱくとひな鳥のように食べ進めてしまいましたわ!? リデル様ももちろん召し上がっていらっしゃいましたが、殿方と同じ量の食事をとるなど……大変美味しゅうございましたが、なんたる無様な光景を見せてしまったことか。



「……ごちそうさまでした」

「足りないなら、いつものような材料は持って来ているが」

「大丈夫ですわ!!」



 リデル様……たしかに、スキルを使ったあとの食べっぷりをよく見られてしまったので、これくらいの量ではと思うのでしょうが。今回はひとつひとつのボリュームがそれなりにあったので問題ありません!! むしろ、リデル様の方が足りないのでは?



「そうか。大丈夫ならいいんだが」

「……お気遣いありがとうございます」

「いいんだ。いつも気持ちがいいくらいたっぷり食べていたからな? それにしては細いままだし、気になっていた」

「……呆れましたか?」

「まさか、逆に心配になっていただけだ。公爵家ではきちんと食事をしていなかったのかと」

「え……っと、普通に食事はしていた、と?」



 やはり、アーストに来てからジャディス国での記憶がさらに曖昧になってきましたわ。婚約パーティー前の、リデル様との初対面あたりはしっかりと覚えていますのに? 浮気した元婚約者の顔すら、ぼんやり程度な感じですもの。


 なにか、わたくしの身に、スキル以上のなにかが起きたのでしょうか?



「……色々、記憶が曖昧になっているな」

「申し訳ございません。何故か、最近特に」

「いいんだ。ひょっとしたら、クロノ様があちらに施した封印の影響かもしれない」

「……クロノ様の?」

「効き目が遅くなるように、わざとレティにはゆっくり浸透させていた可能性がある。だけど、日常生活には支障がないように。……ジャディスのこと以外、アーストに来てからの記憶は大丈夫か?」

「はい。そちらははっきりと」



『洗濯』だと思っていたスキルが『聖浄(クリアラ)』という異能クラスのそれだとわかったこと。陛下方を含め、イリスの方々の『穢れ』を洗い流し……『染め』『紡ぎ』の仕事をお手伝いできたことも。


 そちらについては、きちんと覚えておりますわ。ですから、余計に祖国のことを忘れかけているような感覚に慣れませんの。アーストに来てからの、毎日が充実し過ぎていて……とても幸せ過ぎて。



(リデル様を、本当にお慕いしている気持ちも持てて……)



 これ以上にない幸福感を得ていることに、少し罪悪感を覚えるほど。祖国を封印するような仕打ちをしてしまったのに、どなたも怒ることがありませんもの。まだ少し、ジャディスへの思い入れがあったのか、それではないのか。


 自分では、よくわからないのです。



「……少しずつでいい。イリスの中に馴染んでいけばいいんだ」

「よいのでしょうか?」

「いいんだ。王族にとっての恩人の意味もあるが……俺が、君に居てほしいと願っている」

「え?」

「たしかに、契約で婚約者にはなったが。あれは建前だ。俺の妃は、さっきも言ったように……レイシア、君だけだ」



 今日はたしかに、周囲に押されて決めたデートでしたのに……まさかの、リデル様からの告白が。


 びっくりして、ぽーっとしていますと頬に手を添えられ、そのままリデル様のお顔が近づいてきました。


 何を、と聞く前に唇にやわらかいもので覆われ。それがリデル様からのキスだと気づいたのはふわふわした熱が落ちいついてからでしたの。


 しばらくして、キスが終わったときには額にも軽く口づけられましたが。


 あまりにも蕩けた感情に満たされ、食事とは違う幸福感が胸いっぱいでしたわ。ぽろっと涙が出てしまいましたが、リデル様は舌でぺろっと舐めてくださいましたの。



「……自惚れて、いましたわ」

「お互い、きちんと言葉にしてなかったからな。ジャディスで君に申し込んだときに、そのつもりで告げたんだが」

「……演技かと」

「それは悲しい。……これから、恋仲としても側にいてくれ」

「はい……」



 もう一度キスをするときには、わたくしはリデル様とくっついていたくて首に手を回しましたわ。

次回は月曜日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ