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スキル『洗濯』の能無し悪役令嬢は、冷酷王太子殿下と虹染めに夢中〜無自覚溺愛に振り回されつつも、隣国は楽園です!〜  作者: 櫛田こころ


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第65話 心配されるのが恥ずかしい

 レディには少し以上に、恥ずかしい心配をされてしまいましたわ。


 たしかに、スキルをたくさん使うようになってから……魔力もたくさん消費するようになりましたので、必要以上に『空腹』を感じてしまいますの。ですから、リデル様の前ではいつでも『お腹ぺこぺこ令嬢』の印象を植え付けてしまいましたわ!?


 本当に、この二日間はしっかりお休みをいただきましたし、スキルも使っていませんから……そこまでぺこぺこではありませんわ。ええ、本当ですもの。



(ですが、恥ずかしい……)



 リデル様が用意してくださる、野営のご飯はもちろん美味しいですから……今日のピクニックのお弁当はお城の料理長がご用意してくださっても、きっととても美味しい料理ばかりでしょう。それに期待してしまっているわたくし、レディとしてみられていないのでしょうか??


 一応、今日のお誘いはリデル様からですけれど。クロノ様とか周りの方々に押し切られるようにしての提案でしたが。



「……風が気持ちいいな」



 今は敷布の上に並んで腰かけていますが、特になにも会話がなくても……何と言えばいいのでしょう? これは、落ち着くと思えば良いのか。リデル様が隣にいらっしゃるだけでも、わたくし、とてもときめいてしまいますの。


 ドキドキしながらも、リデル様に不快感を与えてはいけないとじっとしていましたが。この切り出しだと似たような言葉で返せばいいのかしら??



「……そうですね。陽射しもほどよく、あたたかいです」

「そうだな。……馬を走らせたが、疲れていないか?」

「いいえ。わたくしも自分ひとりのときは……あれくらい、でしたので」

「そうか。なら、帰りは少しゆっくり走ろう」

「わかりましたわ」



 と、終らせてどうするのですか!? ここで、会話を中断してはせっかくのデートですのに……せめて、親交を深める意味でも続けるべきでしょうに。



「……レティ」

「あ、はい」



 また、リデル様に気を遣わせてしまいましたが、会話が出来るのならなにより。もう少し長めに頑張るのです。レイシア、乙女としても成長するのですわ!!



「……アーストには慣れただろうか?」

「はい。皆様にもとてもよくしていただいて」

「それは君が俺たちの恩人なのもある。君には感謝してもし切れない。忌み嫌う種族の『穢れ』を取り除いてくれたんだ」

「……わたくしが出来ることをしたまでですのに」

「俺の手の穢れを、君はなんの躊躇いもなく『汚れ』だと思って取り除いてくれた。あれには、本当に驚いた。歓喜以上の驚きなんて、久しぶりだったから」

「あのときは、勝手に『洗濯』してしまっただけですわ」

「その勝手が、今に繋がっている。俺の妃に……横にいてくれることが嬉しい」

「まあ」



 ふんわり笑顔を見せていただける、リデル様のどこが冷たいのでしょうか? お兄様はわたくしの前だけだとおっしゃっていましたが……振り返ってみても、わたくし以外の女性と言えば、リーリルお姉様と従姉妹様のアディルカ様の前で見た程度。アディルカ様の前では今と全然違いますが、お姉様の前では……笑っていませんわね??



(ああ、そんな!! 契約のはずですのに、うぬぼれてしまいそうですわ!!)



 おっしゃっていただいた言葉すべてが本心ですと、とても恥ずかしい気持ちになりますの!! わたくし、自分の身体も少しずつ綺麗に整えるように気を付けてはいますが……美しい、リデル様の横に並んでもいいような貴婦人では全然ないですもの!! お腹ぺこぺこのイメージがついたまだまだ子ども扱いが抜けない令嬢ですものぉ!!?



「だから、今日は共に休む時間が取れて嬉しい」



 ほら、すぐにこのような嬉しいお言葉をいただけるんですもの!! レイシア、ここでお腹を鳴らしてはダメ。もう少し甘い雰囲気を楽しむのです!!


 とはいえ、少ししたらお弁当を忘れそうになるからと、リデル様から食べようという提案にはなりましたが。

次回は金曜日〜

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